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介護保険料の仕組みと負担の差
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介護サービスを利用した際には、利用料を支払わなければなりません。
この利用料は、利用した人が全額払っているわけではないことをご存じでしょうか?
支払う負担分は、利用料の1割か2割。人によって割合が違うのです。
何度聞いてもピンとこない方も多くいらっしゃると思います。
そこで今回は、介護保険料の仕組みと負担の差についてわかりやすくご説明します。
介護保険サービスの利用料金とは?
介護保険サービスを利用した際、サービス利用料を支払う必要があります。
介護サービスにかかる料金は、施設の規模や利用時間、介護度によって異なります。
要介護1の人が、デイサービスを利用する場合
要介護1の方が、通常規模のデイサービスを5時間以上7時間未満利用したとすると、1回572円が介護サービスにかかる基本の料金です。
要介護5の人が、デイサービスを利用する場合
要介護5の方が同じように、通常規模のデイサービスを5時間以上7時間未満利用したとすると、1回988円が介護サービスにかかる基本料金です。
要介護5になるとお体の状況が悪く寝たきりによる全介助の方や認知症などで四六時中見守りが必要な状態など、介護を多く必要とするということで、料金に反映します。
サービスや内容でも加算される
サービスの提供体制や内容によっても加算という形で、利用料金が上乗せされます。
地域により、人件費などの格差を考慮し、割増される制度もあります。
デイサービスであれば、この基本料金に、各種加算分や昼食代などを足した金額が1回の利用料金です。
介護サービスの自己負担額は所得によって変化する
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1回の利用料金のうち、サービスを利用した人が1割を負担することになるのが、先ほど記した基本の料金の部分です。
残りの9割については、国や都道府県、市町村が負担したり、介護保険料から支払われます。
2015年の介護保険制度の改正
自己負担分の料金は、2015年の介護保険制度の改正によって変化しました。
それまで、全員が一律で1割負担だった介護サービス費が、所得によっては2割負担になりました。
このため、本人の合計所得金額が160万円以上の方については2割の負担が必要になりました。
これは、
です。
また、同一世帯の65歳以上の方の年金収入とそのほかの合計所得金額が346万円以上の方の場合も該当します。
例えば、介護サービスを受ける方が90代の方で、同一世帯の息子世代が65歳以上で現役で働いていて収入があり、364万円以上の所得がある場合なは、これに該当します。
知っておきたい「高額介護サービス費」
いくら必要なサービスを受けたからといって、また、いくら所得が多いからといって、負担する費用は低いほうがありがたいですよね。
同月に自己負担額のひと月の合計が一定の金額を超えた際に、市町村に申請することで、決められた金額が支給される制度があります。
それが「高額介護サービス費」です。
一定の金額については、こちらも所得によって変化します。
単身世帯なのかどうか、課税されているかどうかといった細かい区分があるので、自分がどの区分に該当するのかを、市町村の窓口で確認しておくと、申請漏れを防ぐことができますよ。
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大変な手続きでも申請する価値あり
介護サービスを利用した際には、必ず負担しなければならず、時に頭を悩ませてくれるのが、その利用料の問題です。
特に、2015年以前から介護サービスを利用していて、利用割合が増額になってしまった方にとっては大きな負担となっているでしょう。
そんな時は、「高額介護サービス費」を申請して、負担を減らしてください。
申請しなければ支給されない仕組みの制度は手間もかかりますが、「自己負担を減らすため」だと思って、忘れないように手続きしてくださいね。
一度手頑張って手続きを済ましていまえば、そのあとの介護や気持ちが想像以上にラクになります。
全部頑張らなくても良い
「良い加減(いいかげん)」が大切です。ひとつずつコツを抑えていけば、気持ちにも隙間が生まれます。
よくわからなときはぜひお近くの介護相談窓口や担当のケアマネージャーさんを頼って頂きたいと願っています。(執筆者:佐々木 政子)