ここ1年、我が家ではマンション、そして一戸建てを含めてマイホームの検討を重ねてきました。
そんな我が家の結論は、「マイホームを持つより資産を作るほうを優先する」ことでした。
より具体的に言うと、家を持つことにこだわるより、教育費やその他への支出を優先するとも言えます。
そんな結論に至った理由を皆さんにお伝えしたいと思います。
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目次
家を買うと、住宅費にお金がかからなくなるのか
家には、固定資産税がかかり続けます。つまりずっとコストのかかり続けるものです。
もちろん、家賃という観点で見れば、長く住めば賃貸よりも費用は低くなる傾向にあります。
しかしながら、一軒家であれば光熱費は賃貸住宅より大きくなりがちですし、マンションであれば、管理費、修繕積立金、駐車場代などコストはかかり続けます。
よく、「今の家賃でマイホーム」というキャッチコピーを見ますが、そこには固定資産税や光熱費、マンションの管理費、修繕積立金、駐車場代は含まれていないことが多いです。
その金額は、たいてい最大の期間で住宅ローンを組んだ場合の住宅ローンのみの金額です。
見積もりは管理費や修繕積立金などが加味されていない
我が家も実際、マンションの購入見積もりを出してもらったことがありますが、住宅ローンだけなら確かに、近場の賃貸よりお安いお値段で新築マンションが購入できました。
けれど、管理費、修繕積立金、さらに駐車場代を合わせると、実際にはそこまでお安くありませんでした。
そして、何よりの盲点が、マンションの場合、管理費や修繕積立金は上がっていくことが多く、下がると言う話は聞かないことです。
その上、マンション自体に住人が少なくなれば、その分負担金も増えるシステムなのです。
一軒家の場合は、一見すると光熱費の増大と固定資産税以外に増加する項目が見当たらなそうです。
単純に購入すればそれ以上にコストがかからない訳ではない
しかし、前回「賃貸か、持ち家か…一般的な比較ではわかりにくい生涯コストを「条件別」で考える」のリフォームコストの項目でご紹介したように、10年20年とたつと修繕が必要となってきます。
よく住宅販売会社で30年保証、50年保証を謳っていますが、その保証は、「無料」の点検にて必要があれば「有償」で必要な修繕をすることとなります。ここも注意が必要です。
また、勤め先によっては持ち家の場合は住宅手当てがもらえなくなることもあります。
このように、家には管理・修繕にコストがかかってくるものと認識した場合、単純に買ってしまえば、それ以上にコストがかからなくなるという発想がなくなりました。
10~15年で家を売った人々
ケース1) 築10年代の家を売ることになった方
そんな中、逆に、家を持ったことで損失を出してしまったという友人・知人に立て続けに話を聞く機会がありました。
1人は東京で、転勤のない会社で働いており、10年ほど前に家を買い家族で落ち着いて生活を楽しんでいた方です。
ところが、会社が初めて新しい事業所を地方に作ることになり、そこへ転勤を言い渡されたのです。
新しい事業所が軌道に乗るまで、少なくとも7、8年、10年はかかるかもということで、築10年代の家を売り当分、地方で生活する決意で移りました。
早々に支払いはしてきていたものの、家を売るに当たっては仲介手数料その他の費用も掛かり損失が出たようです。
そもそも、一生住むくらいの覚悟で購入した家なので、その予定が狂ってしまえば、収支も狂ってしまいがちです。
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ケース2) 築15年になるかならないかの家を手放した方
もう一人は、もともとは転勤もあった方ですが、下の子どもが高校に入った時点で転職し、就職先である関西に家を買いました。
ところが子どもたちは、関東と海外に就職しそちらに居を構えてしまいました。
そうなると、関西では子どもも寄り付きにくく、海外の子どものもとに行くにも関東の方が便利です。
もともとは関東圏が出身地であったこともあり、結局築15年になるかならないかの家を手放し、あたらしく関東にマンションを買うことにしたそうです。
これらの話から、いくら「ずっと住むんだ!」と決めても、ライフスタイルの変化はもちろん、周りの状況でそれが叶わなくなることも実際にあるということがわかります。
地震をはじめとする災害で有無を言わさず、住んでいた土地に戻れないということだって、もちろんあるわけです。
土地に縛られることでの教育的リスク
マイホームを持つ時期として多いのは、結婚した時、子どもが生まれた時、そして子どもが小学校に入る時というのは多いようです。
しかし、子どもを特に公立の小中学校に通わせようと思う場合、もしくは家から通える範囲で学校を考える場合には、そのリスクもあります。
実際に校区の小学校が合わないなどの理由で、越境通学などをする子どもも我が家の周りに多くいます。
子どもの不登校などが増えている中、子どもが新しく家を買った地域の教育環境になじめないとき、どうにかなる環境ですか?
ひとりっ子ならまだしも、複数の子どもを抱える家庭では、そのリスクは増してきます。
子どもに何かあった場合、子どものために引っ越そうというゆとりがあるのかを立ち止まって考えた時、我が家ではそこまでのゆとりはないなと判断しました。
お金がたまらなくなるかもしれないリスク
そこまで深刻にならなくてもとか、そんなことを言ったらどこにも住めないと思う方もいるかもしれません。
私も自分はなんて心配性なのだろうかと思いました。
けれど、
・ 不測の事態で家を手放すことだって大いにあり得る
・ その土地で家族が満足するかはわからない
ということに加え、お金がたまらなくなるかもしれないリスクがあることも事実なのです。
そう考えた時、家を買うより、ライフスタイルに合わせて転々とできる資産を作ることを優先しようと思いました。
家はいつでも買える、けれど、今は買わない。家の頭金をため続けるというようなイメージです。
その頭金は、教育費に使ってもいいし、実際に、将来家を買ってもいい、自由に使えるお金を持つことを優先する、そういう発想があってもいいのかなと思った次第です。
ちなみに綿密にコスト計算をした結果、我が家の場合は、購入時点で3万以上負担が増えることがわかりました。
これは、頭金や諸費用を含めないでの計算のため、これらを考慮するともっとコストがかかります。
憧れのマイホームに、月々多少の負担は仕方ないと考えるか、その分を子どもの教育費に当てたり、運用したりするかは個人の判断です。
住宅ローンの金利は1%程度と確かに低いですが、住宅に回すお金をその分投資に回せば、堅実な投資信託その他では年5%以上ものリターンが望めるのも事実です。
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家を買う前に、チェックしたいリスト
家を買う前によく考えて計画を立てた方がいいと思う人は以下の通りです。
・ 子どもの教育環境によっては別の土地に移ってもいいと思っている人
・ 定年後は別の場所で暮らしたいと思っている人
・ 子どもの結婚後は子どもや孫の近くにいたいと思っている人
・ 実家などと遠い土地で家を購入しようと思っている人
将来、家を手放す前提で、家を建てるのであれば、それもよいでしょう。
その場合は賃貸と持ち家の双方のメリット・デメリットを十分検討してみるといいかもしれません。
持ち家は、絶対に購入しなければいけないものではありません。
また、お金の問題だけでなく、ステータスや満足度、そのほか人生の歩み方にまで関わってくるため、そこに正解があるわけでもありません。
でも、家にかけるお金をほかに回すことは可能です。
家を買うより先に資産を増やそうという考え方もありますよ。(執筆者:小柳 結生)