最近は国からもらえる公的年金以外の備えについての話題が多くなっています。
厚生労働省が発表したデータでは、夫婦二人の平均的な年金額が22万1,277円です。
総務省発表の家計調査で65歳以降の平均生活費が26万7,546円です。
差額が4万6,269円。
この差額は大体、教養・娯楽費・交際費と同額です。
年金だけでは、少し足りないため、将来のために資産を形成する必要があると考えられます。
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では、実際どのような制度があり、どれだけ備えれば、将来幸せな老後を送ることができるのでしょうか?
最近、法改正があった、個人型拠出年金(iDeCo)や少額NISAいろいろありますが、
そんな方のために、今回は将来の備えとしてのiDeCoの利用を考えてはいかがでしょうか。
目次
「iDeCo」とは
個人型確定拠出年金の通称です。
任意で申し込むことにより公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金のひとつです。
20歳以上60歳未満の方が対象です。
今までは対象ではなかった、一部の会社員や専業主婦の方も対象となりました。
「iDeCo」をはじめるには
(1) 加入資格があるかどうかのチェック!
これは、60歳未満かどうか、働いている会社の拠出年金等制度のありなしで判断します。
(2) 掛け金を決める
最低掛け金は5,000円からで、上限については、以下のとおりです。
【会社員】(第2号被保険者)
会社に企業年金がない → 月額2.3万円
企業型DCに加入している → 月額2万円
DBと企業型DCに加入している → 月額1.2万円
DBのみの加入している → 月額1.2万円
公務員等 → 月額1.2万円
【専業主婦(夫)】(第3号被保険者)→ 月額2.3万円
DC:確定拠出年金
DB:確定給付企業年金・厚生年金基金
(3) 金融機関を選ぶ
金融機関によって、選べる商品の違いやサービスの違い、手数料に差があります。
(4) 商品を選ぶ
商品の代表としては、元本確保商品・投資信託等さまざまあり、原則として選択した商品はいつでも変更できます。
「iDeCo」の3つの税制メリット
(1) 掛金が全額所得控除
毎月の掛け金が2万円の場合、その全額が税額軽減の対象となり、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間4万8,000円、税金が軽減されます。
(2) 運用益も非課税で再投資
通常、金融商品を運用すると、運用益に課税されますが、「iDeCo」なら非課税で再投資されます。
(3) 受け取るときも大きな控除
「iDeCo」は年金か一時金で受け取り方法を選択することができます。(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます。)
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となります。
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受け取れる金額は
給付額は運用成績により変動します。
将来受け取れる金額があらかじめ確定しているわけではありません。
「iDeCo」の注意点
60歳まで引き出すことができません。
また、収入が少ないとき、掛け金を下げたり上げたりは1年に1回できます。
また、解約はできませんが、拠出を一時的に停止することができます。
多くの税制優遇もある「iDeCo」将来の老後資金と考え始めるならできるだけ早く、また人生設計の中でお金をためられる時期にしっかり運用していくのはいかがでしょうか?(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)