2019年度以降で予定されていますが、
が検討されています。
これまで主たる生計維持者(いわゆる一家の大黒柱)の所得を基に支給が決められてきましたが、夫婦合算されて判定されます。
あと1年以上先の話ですが、確定申告期間が終了したこの時期に、不利にならないよう考えておきたい点を挙げます。
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目次
児童手当の所得基準
現行制度では、生計中心者(父母のうち所得の高い方)に関して、下記の各種所得の合計
・総所得金額(総合課税の所得の合計・3年前までの繰越損失は控除する)
・山林所得金額
・退職所得金額
・土地等に係る譲渡所得等
・先物取引等に係る雑所得等の額(こちらも繰越損失は控除)
・土地建物等の譲渡所得
・条例適用利子等・条例適用配当等
から下記の所得控除を差し引いたものが630万円以下の場合は、児童手当が満額(3歳未満と第3子以降の小学生までは1万5,000円、それ以外は1万円)もらえます。
・雑損控除
・医療費控除
・小規模企業共済等掛金控除
・寡婦(夫)控除
・勤労学生控除
・障害者控除
・配偶者控除
・扶養控除(児童手当では16歳未満も控除対象とする)
※老人扶養親族・老人控除対象配偶者は控除額44万円で計算
所得制限を超えた場合でも、月5,000円の特例給付はもらえますが、将来的には特例給付の廃止も検討されています。
児童手当の所得基準が世帯合算に変更になった場合、この計算を夫婦2人分行ったうえで合計して判定します。
対策として考えられること
児童手当の所得基準が世帯合算に変更になった場合でも、他の所得基準は変更がないものとして、少しでも有利になるような方法としては下記のことが考えられます。
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1. 夫婦どちらが医療費控除を申告するか?
サラリーマンでも医療費控除を活用する場合は確定申告しなければいけませんが、この医療費控除は児童手当の所得基準にも反映されます。
医療費控除は同一生計親族分も含めて申告でき、また所得控除は同じ控除額でも税率が高いほど有利になりますので、税金計算上は所得の高い方が申告するほうが有利です。
一方で、医療費控除額の計算式は
となっており、足切額は
・ 10万円もしくは各種所得合計の5%の低い方
です。
給与年収約310万円以下は足切額が10万円以下になるので、
関連記事:医療費控除10万円の壁を諦めない 年収約310万円までは「10万円以下」でも医療費控除は活用できる
妻:年収300万円
の場合は、妻が負担者となって医療費控除を申告するほうが医療費控除額は大きくなります。
合算することとなった場合の児童手当の所得基準では、医療費控除額は少しでも大きくしておく方が有利と考えられます。
2. 上場株配当を総合課税で確定申告した場合、住民税申告も行う
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児童手当の所得基準において、総合課税の所得は「総所得金額」に含まれますが、分離課税の株式譲渡・配当所得は含まれません。
上場株配当は申告対象から外すこともできますし、申告する場合は総合課税・申告分離課税から選択できます。
配当を総合課税で確定申告した場合だけ、児童手当の所得基準で不利です。
児童手当の所得基準は住民税の所得情報に基づきますが、配当控除を考慮しても分離課税の住民税率5%に比べて総合課税の住民税率は高いので、住民税においては総合課税で有利になるケースがありません。
配当の課税方法は、所得税(確定申告)と住民税で異なる方法を選ぶことが可能です。
所得税還付の上で総合課税が有利だとしても、確定申告とともに住民税申告を行って課税方法を(申告分離課税または申告不要に)変更することで、児童手当の所得制限においても有利です。(執筆者:石谷 彰彦)