日本年金機構の取り扱う年金支給に関しては平成29年9月に、現役時代公務員であった方の配偶者(第3号被保険者だった方)が受給する年金に関して、振替加算の支給漏れ問題があり大きく報道されました。
平成30年2月13日に、新たな過少支給について公表しています。約130万人分にも及ぶこの過少支給ですが、いったい何が問題だったのでしょうか?
また、サラリーマンもこの問題から気をつけておきたい点も説明します。
※日本年金機構を巡っては3月20日以降、複数の問題点が報道されていますが、ここでは所得税の過大徴収による年金過少支給に話を絞り、マイナンバーを巡る問題については続編記事を予定しています。
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目次
年金過少支給の理由
受給者による扶養親族等申告書の提出遅れ
平成30年最初の年金支給日2月15日を前にした2月13日、日本年金機構が過少支給について発表した事実は、平成29年中には提出する平成30年分の「扶養親族等申告書」に関して、提出遅れの受給者分が2月15日支給に反映できなかったという点です。≪参考:扶養親族等申告書(pdf)≫
扶養親族等申告書は、所得税の人的控除
・ 配偶者控除
・ 障害者控除
・ 寡婦(夫)控除
の該当者を記載するための申告書です。老齢基礎年金・厚生年金から源泉徴収される所得税は、上記の各控除を受けられる場合は減額されます。
この申告書は、平成29年提出分(平成30年適用分)から様式が変更されており、今回は前年と変更なしであっても、受給者は一から記入する必要がありました。
扶養親族等申告書に記載できるような扶養家族がいらっしゃっても、記載の仕方がわからず申告書が日本年金機構に正しく提出されていなければ源泉所得税を減額できませんので、所得税控除後の年金は減ることになります。
様式変更により期限内(最終期限は平成29年12月11日)に提出できなかった方や、提出しても不備があった方が多いのが、平成30年2月15日過少支給の1つの要因です。
委託業者による扶養親族等申告書の処理漏れ・入力ミス
もう1つの原因としては、日本年金機構が処理を委託している業者のミスもあります。
過少支給された受給者(約8.4万人)は、扶養親族等申告書を提出したにも関わらず、業者の処理漏れにより過少支給となりました。
その後3月20日には、この委託業者を巡っては
・ 約501万人分の氏名の入力を国外の業者に無断で再委託していた
など、深刻な事態が発覚しています。
この問題からサラリーマンが気をつけておきたいこと
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勤務先の年末調整ミスで還付申告に支障が出る恐れ
源泉所得税の徴収ミスは、年金記録や支給を巡り度々問題になった日本年金機構で起きているから報道されたとも言えます。
これは勤務先で年末調整を受けるサラリーマンでも、知らないうちに起こりえる話です。
深刻なことになるのは、手書きで計算していた、計算ソフトでバグがあったなどで勤務先が誤った年末調整を行った場合です。
このまま確定申告しなければ誤った所得税額のままになりますし、確定申告した場合にも予想外の納税になってしまうこともあります。
源泉徴収票は5年かけずにすぐチェックを
所得が年末調整済みの給与しか無く、医療費控除・ふるさと納税などを申告する場合は基本的に還付申告で、確定申告期間だけでなく5年間行うことが可能です。
還付申告を予定している方は、医療費の集計などは時間をかけても良いです。
ただ年末調整が誤っていることに気づかず年月が経つと、自身が退職していたり年末調整担当者が変わったりでやっかいなことになります。
源泉徴収票をもらったら、すぐに確定申告書作成コーナーなどで給与所得のみの入力を行って所得税額の算出まで行い(操作は下記の画面参照)、年末調整が正しく行われているかのチェックをおすすめします。
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※「確定申告書作成コーナー」で、給与所得の源泉徴収票の内容を入力し、記載内容が誤っている場合に出るメッセージ(エラーコード:TA-E55003)先へ進めなくなる。
源泉徴収票の入力途中でエラーが出たり(前述の画像参照)、思わぬ形で納付が出たりした場合は、勤務先の年末調整が間違っている場合がありますので、年末調整の計算に関して勤務先に照会しましょう。
どこが間違っていそうかわからない場合は、税務署に相談ということになるでしょう。
所得税徴収漏れがあった場合は、給与から追加で所得税が天引きされることになります。
天引きに代えて確定申告で追加納付する場合は、3月15日の納付期限までにしたほうがいいので、なるべく勤務先で天引きしてもらい還付申告に備えるのが良いです。(執筆者:石谷 彰彦)