再就職を考えるとき、資格取得を検討する人は多いでしょう。
しかしながら、チャレンジしようにも受験資格がある場合があります。
「登録販売者」という資格には、それがありません。
年齢や性別はもちろん、学歴、実務経験さえも必要なく、誰でも受験することができます。
実際に試験を合格した筆者が、その内容を詳しくお伝えします。
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目次
登録販売者とは
簡単に言えば、ドラッグストアやスーパーなどにある一般医薬品を販売できる専門家のことです。
以前は薬剤師だけに許されていましたが、2009年改正薬事法により「登録販売者」が新設され、一般医薬品の約9割といわれる第二類・第三類の医薬品を販売することができるようになりました。
「登録販売者」は、勤務時間に制約がある主婦にも、再就職を狙うシニア層にも魅力あるメリットがあります。
【メリット1.】 就職しやすい
勤務先は、ドラッグストアやスーパー、コンビニなどがあります。
登録販売者の資格を持っていれば、当然ながら就職しやすくなります。
というのも一般医薬品は、薬剤師もしくは登録販売者がいないと販売できません。
しかし薬剤師は、平均的な給与が高く人件費がかかります。
雇用者側にとって、経費を抑えつつ営業をするなら「登録販売者」は見逃せません。
【メリット2.】 一般の販売スタッフより時給が高い
実際調べてみると東京都の時給は、1,000円くらいから1,500円。
地方都市でも20時からですが販売スタッフが時給900円のところ、登録販売者は時給1,457円。
さらに22時からは1,822円という募集をみつけました。
正社員なら資格手当がつくところもあり、シニア歓迎の求人も目を引きます。
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【メリット3.】 働く時間・場所を選べる
コンビニやドラッグストアは、地方での出店も多く、営業時間は長い傾向がみられます。
中には、24時間営業というところもありますよね。
ならば、家族の予定を重視し子どもの成長によって、勤務時間を変更するという働き方も考えられるでしょう。
また店舗は全国にあるため、たとえ転居したとしても前職はキャリアとなり、さらに転職に有利になるでしょう。
【メリット4.】 医療を学んで損はない
学ぶことは医療です。人の役に立てる、という喜びが得られる上に、自分自身のためにもなります。
では試験内容について見てみましょう
出題範囲
【2】人体の働きと医薬品
【3】主な医薬品とその作用
【4】薬事関連法規・制度
【5】医薬品の適正使用・安全対策
厚生労働省の「試験問題の作成に関する手引き」をもとに、各都道府県ごとに問題が作成されます。
合格ライン
試験時間は4時間、出題数全120問のうち、正答率が70%以上が合格ラインです。
但し、各出題項目ごとの正答率が35~40%以上を求められるため、一つの項目でも下回れば他が高得点であっても合格にはなりません。
正答率は都道府県によって異なります。
難易度
都道府県により問題が異なるため、その難易度にも違いがでます。
平成28年度登録販売者試験実施状況(pdf)(平成29年1月31日発表)では、合格率が一番低いのは島根県の27%、一番高いのは兵庫県の55.8%です。
試験日程・詳細
試験は8月~12月頃に開催され、各都道府県により異なります。
詳細は受験する各都道府県の担当部門にお問い合わせください。
受験してみた感想
筆者は実務経験があったため、多少の知識はありました。
ある程度勉強すれば、法規や人体の働きは、身につくようになります。
しかし、上記に記した出題範囲5項目のうち「主な医薬品とその作用」には手こずりました。
以下の例題は厚生労働省のHPから引用(pdf)したものです。
(a) ヨウ化イソプロパミドは、神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を阻害することで作用を示す。
(b) ロートエキスは、成分の一部が母乳中に移行して、乳児の脈が遅くなるおそれがあるため、授乳婦では使用を避けるか、又は使用期間中の授乳を避ける必要がある。
(c) 臭化水素酸スコポラミンは、その抗コリン作用を期待して、乗物酔い薬に含まれる。
(d) 抗コリン成分を服用すると目のかすみやまぶしさを感じることがあるため、服用後は運転等の作業をしないようにしなければならない。
1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)
正解3
以上のように、医薬品は成分名がカタカナ表記されていることが多く、通常の暮らしからはなじみがない、意味を感じられないものが多くあります。
まずカナ表記の名前が覚えられない。効能と結びつきませんでした。
そこで買い物に行ったとき医薬品コーナーに立ち寄り、知っている商品の成分名を確認、身近なものに印象付けて暗記していました。
また学生時代に戻り、単語帳に成分名と効能を書き写し隙間時間は、常にブツブツ、ブツブツつぶやいていました。
勉強の仕方はいろいろあるでしょう。
通信教育なら、調べたところ3万5,000円が最低価格でした。しかし、独学すればテキスト代のみです。
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資格取得は、あなたがオンリーワンになるチャンスです。
知識は無駄にはなりません。新しい可能性を求めて、始めてみませんか。(執筆者:吉田 りょう)