働き方改革と騒がれる近年、欧米では主流ともいる「フリーランス」が日本でも注目されています。
そんなイマドキの働き方ですが、実際にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
フリーランスとして最前線で活躍されている生活環境も事情も違うお二人に、細かにお話しを伺ってきました。
目次
リストラが転機! 地元愛溢れるフリーライター&講師
ライター&講師業:桂 浩一さん
―フリーランスという生き方を選択した理由を教えてください
社会人になると同時に地元を離れて20年強。
具体的に決めていたわけではないですが、漠然と「いつかは帰りたい」と思っていました。
東京の某大手企業で勤務していましたが、業績不振のために実質解雇となったのが40歳過ぎ。
再就職も困難で、マンションのローンの返済などでやむなく非正規職員となりました。
しかしかし収入は激減し月々の支払いで苦しくなり、貯金を切り崩す生活になってしまいました。
ネットで偶然クラウドソーシングの記事を見て、「当面のお小遣い程度に」と軽い気持ちでライターとして仕事を始め、3か月経った頃に
と考えUターンをし、ライターとしての業務をスタートさせました。
行動力溢れる彼、リストラが大きな転機になったのですね。
やりがいは人生で最高レベル
―実働は何時間くらいで、経済的にはいかがですか?
実働は、平均すると週40時間程度ですね。
ダラダラ仕事をすることもあるので、メリハリを付ければもっと実働時間は減ると思います。
サラリーマン時代の月収には届きませんが、やりがいは人生で最高レベルです。
仕事の内容と収入が比例している現状が楽しくて仕方ないです。
仕事の割に給料が…なんて思うことが多々ある会社員と違い、フリーランスの大きな魅力として自分で収入と労働時間は自分で設定できるということが挙げられます。
―ご自身で感じているフリーランスのメリット、デメリットを教えてください
メリットは、仕事の量や内容、取引先、スケジューリングなど全てを自分でコントロールできることですね。
そして、自分の実力と収入が比例していることでしょうか。
あとは、自分の興味がある分野や物事を企画提案して仕事化できること…なにより組織人ではなく、個で稼ぐ力を意識してさまざまなことに取り組めることが魅力だと思います。
デメリットは、もともと仕事人間だったこともあり、四六時中仕事のことを考えてしまうことです。
サラリーマン時代は休日が待ち遠しかったのに、今は休日が邪魔だとさえ思うようになりました。
国民健康保険料や国民年金保険料の高さも感じます。
また、グルメ取材の仕事で飲食店と知り合いになると定期的に顔を出さずにいられなくなるので、飲み代と尿酸値が高くなっていることもデメリットですね(笑)
なにかと出ていくお金も多い
個で稼ぐ人を見つけると、お互い応援したりされたりすることも喜びの一つだという彼。
会社のような組織に守られていないこともあり、フリーランス同士の結束は強いものになりそうです。
交友関係の広がりで、出費がかさむこともデメリットの1つと言えますね。
飲み会の費用は全て持ち出しですし、交通費などの諸経費も大きくなりがち。
なにかと出ていくお金も多いのがフリーランスという印象もあります。
満ち溢れる行動力
―今後の展望を教えてください
法人化が大きな目標です。
今年からはじめたライティング講師の業務もより幅を広げていきたいと考えています。
あと、自らの情報発信ツールとしてブログも開始したので、コンテンツの充実を図っていきたいです。
リストラという大変な事態を乗り越え、行動力に溢れフリーランスとしての生き方を実現した男性。
フリーランスとして個で生きていくことは簡単なことではなく、さまざまな苦労と努力があって実現できるものだということもわかりました。
自分しかできない仕事! 翻訳家&マジシャン 異色のフリーランス
翻訳家&マジシャン:堂本 秋次さん
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―フリーランスという生き方を選択した理由を教えてください
月並みな理由ですが、自分にしかできない仕事がしたいと思っていました。
会社に属することでもきっと「自分にしかできない仕事」はできたはずですが、大学生の自分は短絡的で、会社に属するのではなく自分で仕事を獲得していくのがその実現につながると思っていました。
筆者も元公務員なのですが、自分が退職したあとも、変わらず組織が回り続ける現実がちょっとむなしかった覚えがあります。
もちろん、それが社会というものなのですが、組織の歯車のひとつであって、代わりはいくらでもいるという現実がなんだか切なかったのですよね。
自分にしかできない仕事をするというのは大変有意義ですし、うらやましくもあります。
新しいマジックの研究もします
―実働は何時間くらいで、経済的にはいかがですか?
翻訳家としての実働は案件の受注状況でさまざまで、週に10時間程度で仕事が済んでしまうこともあれば、週に40~50時間くらいフルで活動しないといけないこともあります。
あとは、昔のクライアントからお呼びが掛かったときにプライベートなイベントでマジシャンとして出演することがあるくらいですね。
ありがたいことに継続的に受注をいただいており、経済面での不便は特にありません。
日常的な支出・貯金・投資・個人的な趣味・交際費などありますが、それぞれについて大きく不自由することはない状態です。
また、週の仕事量が少ない時には検定試験の勉強をしたり積ん読を消化したりしています。
あとは、新しいマジックの研究なども。
稼働時間が少なくても、十分な収入を得ているというのは素晴らしいですよね。
仕事量が少ないときは、より自分の知識を深め高めるために読書に時間を充てられるというのも魅力的です。
計画的に仕事をすることが大切
―ご自身で感じているフリーランスのメリット、デメリットを教えてください
時間を自由に使うことができるので、プライベートの予定も立てやすく、スキルアップのために時間を使うこともできます。
スキルアップできれば仕事もラクになり、短時間で仕事をこなすことができるようになればそれだけ受注件数を増やすことも可能です。
自分の総合的な実力がダイレクトに収入に反映されるという面は、メリットでもあり、デメリットでもあると言えます。
また、自分で自分を律することが重要です。
計画的に仕事を片付けていくようなセルフマネジメン トができなければ、すぐに立ち行かなくなってしまうと思います。
したいこととやるべきことの違いをしっかりと理解し、計画的に仕事をしていかなければ難しい職業であるといえます。
自分だからこそ発信できる価値
―今後の展望を教えてください
これまでは、翻訳家をメインとしながら、学習記事の執筆や学習素材の提供などを行ってきました。
今後も、自分のスキルをどのように価値に反映できるかを考えていきたいと思っています。
その一環として、自分が面白いと思ったパブリックドメインの本を翻訳したり、自分が書きたいと思った本を書いたりといったことをこの数年ずっと続けています。
自分だからこそ発信できる価値について考え、媒体にこだわらず、積極的に発信していくことを続けていきたいと考えています。
インタビュー後記
もちろん、稼働状況も調節できる自由度の高い働き方であると同時に、働かなければ報酬も減ってしまう働き方でもあります。
お話しを伺って思ったのが、フリーランスとは自由であると同時に、責任も全て一人で背負っているため「毎日同じことの繰り返し」はできないということ。
日々成長し、学び続けつつ業務に取り組んでいかなければ淘汰される業界であるとも感じました。
皆さんは、どんな働き方を理想と考えますか?(執筆者:三浦 希枝)