ケアマネージャーとして新規の利用者さんにいろいろとお話しを聞いていると、「介護保険で購入できたのに」と、思わず口にしてしまうようなことが少なくありません。
訪問介護のヘルパーさんやデイサービスのイメージが強い介護保険ですが、実は一番需要があるのが住宅改修や福祉用具貸与、福祉用具購入です。
介護保険を利用すれば、費用面でもそれ以外の面でも得をすることがたくさんあるのですが、知らずに損されている方が意外と多くいらっしゃいます。
実際に介護保険が利用できるいろいろなことをぜひ知っておいてください。
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目次
住宅改修
原則20万円までの補助を受けることが可能です。
既に要介護認定を受けている方で大きく介護度が変われば、もう一度行うこともできます。
手すりをつけることができるという点については皆さんなんとなくご存じですが、意外と実費で購入してしまっているのが、玄関等の踏み台です。
「上がりかまちが高いので踏み台を買いました」という方がいらっしゃるのですが、それも住宅改修で行うことができます。
また、素人がすると踏み台を置くだけになりますが、介護保険を利用して踏み台を設置すると高さの調整や固定もしてくれるので、その後も安心して使用することができます。
他にも、和式トイレを洋式に、お風呂場の扉を折れ戸に交換というようにいろいろなことができますので、生活にご不便や危ないと感じた時には、まずはケアマネージャーに相談してください。
特定福祉用具販売
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こちらは毎年10万円まで補助が出ます。これはなかなか大きいですね。
「実費で買ってしまいました」で一番多いのはお風呂用の椅子です。
ホームセンター等で比較的よく売っているので、そこで買われてしまったという方が多いです。
実際、介護用品では椅子の種類もたくさんありますので、どれを選んでいいのか悩まれるかと思います。
介護保険でご購入の場合には、利用者さんに最適な椅子を専門の職員が選びます。
何より保険が効きますから、1割ないし2割の負担で購入できるわけです。
定価で買うよりはずっと安く上がります。
ただし、保険が効きそうな防水シーツや尿器等は対象ではありません。
浴室や排泄に使う物品は介護保険の購入品に多いですから、まず確認してみてください。
需要の多いポータブルトイレも対象です。
福祉用具貸与
福祉用具貸与とは福祉用具のレンタルになります。
ベッドや車イス等一部の用品は要介護2以上しか保険は適用されないのですが、今は自費でのベッドや車イスレンタルもそう高くはありません。
「レンタルできるのに買ってしまってもったいない」で一番多いのは歩行器です。
既にご購入してしまったという方も多いのですが、レンタルであれば月々数百円でいろいろな種類から選ぶことができます。
それでも長い間使うなら買った方が得では? と思われるかもしれないですが、レンタルであれば古くなってきたら変更できますし、本人の状態が変わったときは違う種類に変えることもできます。
不要になった場合には返却することができますから、一概にそうともいえません。
車イス
車イスをレンタルしていれば、クッションも借りることができます。
介護ベット
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介護ベッドも本体をレンタルすれば、床ずれ防止用具などいいマットレスが選ぶことができます。汚れた場合には交換ができます。
介護ベット本体についても種類がさまざまです。
簡単な介護ベットを使用していても必要になった場合には、稼働点の多い介護ベットに交換することが可能です。
ですので、慌てて介護用にベットを買われる前にまずはケアマネージャーに相談することをおすすめします。
介護ベットは安い買い物ではありませんし、ご利用者の身体の状況によってはもっと使いやすい介護ベットに変えたいと思うことも出てくるかもしれません。
身体に合わせた介護ベットは介護する側の大きな助けになることもあります。
例えば、介護しているご家族が日々の介護で腰を痛めていたとしたら、介護用ベットの高さ、リクライニング機能、手すりなどを活用することで楽な姿勢で介護することが可能になりますので、腰痛の改善につながります。
腰痛か改善されたら、腰痛の治療にかかっていた治療費なども必要なくなります。
身体が良くなってくると気分もよくなるものです。
いつまで続くかわからない介護です。
なるべくまとまった介護費用は抑えたいと皆さん考えていらっしゃいます。
ケアマネージャーも介護を頑張っていらっしゃるご家族の方々のその思いにこたえたいと思っているものです。
杖
よく聞かれるのですが杖はレンタルできません。
正確には、一本杖は介護保険対象外です。
多点杖(地面に付くところが3つや4つになっている杖)は保険でレンタル可能です。
こちらも、レンタルではなく購入をお考えの場合には、介護用品事業所よりもネットやホームセンターのほうが安く買えます。
ただし、そういった場合は、病院やリハビリ専門職の人に高さを合わせてもらうことをおすすめします。
杖の長さで、歩きやすさが変わります。
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まとめ
要介護認定を受け何らかの結果が出た場合は、いろいろと保険が適応されることがあります。
ますは、福祉用具のカタログをもらってみましょう。思いもよらない便利な用具がたくさん載っています。
カタログは、福祉用具事業所のほか、地域包括支援センターやケアマネージャーのいる事業所にも置いてあります。
保険が適応の場合は安く買えますし、専門職が身体に合ったものを選んでくれるので安心です。
福祉用具で損をしないように、ケアマネージャーに相談です。
「困った」を相談することで、気が付かなかった介護の便利グッズが見つかり、介護を受ける側も介護をする側にとっても、快適な毎日に変わることもありますよ。(執筆者:佐々木 政子)