自分が世間からどう見られているのか、誰しも気になるものです。
もし、その評価の良し悪しで、宿泊するホテルの部屋がランクアップしたり、講座の会費が免除されたり、ローンを組むときには低金利が適用されるとしたら?
AI(人工知能)が私たちを評価する「信用スコア」は、もう夢物語ではありません。
目次
信用スコアって何?
アメリカやイギリスでは、すでにクレジットスコアという信用スコアが根付いています。
あくまでも返済能力や支払履歴という実績に基づいたスコアですが、スコアが低いと賃貸契約や就職活動にまで影響します。
日本にもCICという金融情報機関がありますが、クレジットカードが作れないからといって、部屋を借りられないなんてことはありませんね。
一方、世界が今注目しているのは、中国のアリババグループによる「芝麻信用」です。

芝麻信用ではAIがスコアリングしており、スコアが高ければ保証金なしでシェアサイクルを利用でき、ビザの取得でも優遇されます。
AIのスコアリングには人間性や社会活動も含まれるため、まさに「社会的信用スコア」といえます。
日本の経営者がイメージしているのは、どうやらこちらのようです。
日本に信用スコアは定着する?
クレジットスコアと社会的信用スコアは似ています。
大きな違いは、後者は「審査基準がお金にまつわるものだけではない」という点です。
社会的信用スコアには、購入履歴や支払い状況に加えて、オークションでのマナーやSNSでの動向などが考慮され、今後はボランティア活動なども含まれるでしょう。
たとえば、みずほ銀行とソフトバンク共同出資による融資サービス「J.Score」。

AIの質問に答えることでスコアを算出しますが、質問の内容はお金にまつわるものだけでなく、趣味、好きなスポーツ、生活習慣、性格診断にまでおよびます。
また、決済会社「メルペイ」(メルカリの子会社)のミッションは、信用を創造して、なめらかな社会を創ること。

信用スコアを作ることを公言していますが、多くの事業を展開するメルカリグループの個人データは膨大なものでしょう。
「普通の人」が評価される信用スコア
よくよく考えてみれば、社会的信用スコアにはメリットも多いのです。
動機はどうあれマナーのよい人が増えるでしょうし、旅行先での「旅の恥はかき捨て」、あるいは「ネット上だから失礼でもいいや」という人は減るはずです。
隠れて悪いことをしていない普通の人や、こっそりボランティア活動をしてきた人にとっては、社会的信用スコアは脅威ではなく朗報なのかもしれません。
ただ、「SNSで即レスすればスコアアップにつながる」というのは、ちょっと余計なお世話のような気がしてなりません。
最後に
念のためですが、個人情報を信用スコアに利用するか否かは任意ですし、自分のスコアが知りたければ開示されるのが基本です。
これからは、何かのサービス(ネットに限らず)を利用するたびに、個人情報の利用について敏感になる必要があります。(執筆者:白戸 春)