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要介護者の中には末期癌になる人も
身体状況が悪化して、要介護状態になるのと同時にガンにおかされる人もいらっしゃいます。
高齢者の癌の進行は遅いですが、それでも異常があり検査をすると既に「手遅れ状態の末期癌」ということもあります。
私は罹患の経験はありませんが、末期癌は身体にかなりの痛みを伴うようです。
今回は、その痛みを少しでも和らげる緩和ケアについてお話をさせていただきます。

緩和ケア希望者は決して珍しくはない
長い間施設で働いていると、さまざまな状態の利用者がいらっしゃいます。
入所して癌だと分るケース、入所する前から癌だと分かっていて、ある程度の覚悟をして施設での生活を送るケースがあります。
どちらにしても、実際に痛みを伴うようになれば、本人の気持ちもそうですが、家族の気持ちも変化があります。
当初は「施設で看取り介護をお願いします」と希望をされていても、激しい痛みを目の当たりにすると、なんとか対処できる方法はないか考えます。
そして、その方法として「緩和ケア」をおすすめすることがあります。
そもそも緩和ケアとは?
緩和ケアとは、施設などで行う看取り介護とは違い、病院で精神的・身体的な苦痛を和らげるためのケアを意味します。
他に似たような言葉では、ターミナルケアというものもあります。
施設で最期を迎える「看取り介護」とは違い、ターミナルケアは病院で行われる終末医療のことです。

緩和ケアの具体的な内容について
最近私が経験した、癌を患った利用者へ対応です。
その方は当初は施設で看取り介護を行う予定でしたが、家族と本人の話し合いにより、一般的な総合病院に入院しました。
この時はすでに施設に戻る見込みがなかったので、施設利用の契約を解除しました。
その病院から、痛みを最小限に抑えるため「緩和ケア」を専門にしている病院に転院しました。
施設を退所していましたが、お見舞などには出向いて家族さんからのお話を聞いたりもしていました。
本人に合っても私のことを理解している様子でしたが、とにかく全身の痛みやだるさを訴えていました。
そして、数日が経過すると痛みを抑える薬の投与が開始されたのです。
一般的にはモルヒネが有名ですが、実際に使用されたものは分かりません。
このように痛みを積極的に取り除く薬や点滴が開始されると、目を閉じたまま意識がなくなりました。
こちらの声掛けにも表情に変化がなく、痛みを避けることを優先された対応だと感じました。
緩和ケアにかかる費用
実は厚生労働省から「緩和ケア病棟」と承認を受けた病院なら医療費は定額制です。
ざっくりと、1割負担で…
31日~60日なら1日4,000円
61日以降は1日3,000円
下記の表を参考にご覧ください。
医療費として1日5万で、それに対して1~3割負担です。

もちろん、高額療養費制度の対象です。
末期癌になった時、痛みを和らげるための方法として「緩和ケア」という選択肢があることを理解しておきましょう。(執筆者:陽田 裕也)