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ダイナミックプライシング(価格変動制)
今年から、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)が、「ダイナミックプライシング(価格変動制)」を採用するようです。
というものです。
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USJの入園料金は、今まで一律7,900円でしたが、1月の入園者が少ない時期は7,400円にし、中国の春節(旧正月)で中国人観光客が見込める2月には8,200円、春休みで来訪者が増える3月末からは8,700円と、価格を変えていくようです。
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すでに、海外では、アメリカのウォルト・ディズニー・ワールドなどのレジやー施設やコンサートなどでも、さまざまなところがダイナミックプライシングを取り入れています。
ダイナミックプライシングで皆さんに最も身近なのは、航空会社の航空運賃ではないでしょうか。
みんなが海外旅行に行きたいゴールデンウィークや夏休みのハイシーズンのチケット価格は驚くほど高くなりますが、その繁忙期を外したローシーズンになると、これまた驚くほど安くなります。
・ 金曜日
・ 祝日
・ 早朝
・ 深夜
・ 日中
などでも価格が違います。
飛行機の利用者が多い便と少ない便ごとに、価格設定しています。
飛行機だけでなく、ホテルや旅館の値段も、金曜日、土曜日、祝日の前などは高くなりますし、部屋によっても価格は違います。
宿泊者が少ない平日の当日予約などだと、驚くほど安くなるケースがあります。
人より合理的に、AIが値決めする。
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今まで、こうした価格の設定は、人が過去の経験値から値決めするケースが多かったのですが、最近はAI(人工知能)が、過去の販売状況などのさまざまなデータを大量に学習して価格を弾き出しています。
すでにアメリカでは、数年前からスポーツ界でAIによるダイナミックプライシングが導入され、プロのアメフトやベースボール、アイスホッケーなどのチケットが販売されています。
特に、試合を屋外で観戦する場合、平日か休日かといった日並びだけでなく、
・ 開催時期の天候
・ 暑さ寒さ
・ 見やすい席であるか
・ 人気の選手が出る
・ 優勝など特別なイベントが重なる
など、多角的な角度からの要素でチケットの価値が変わってきます。
ここまで考察するのは人間には無理
過去の膨大なビッグデータからAIが数値化して分析し、顧客の満足度と経営側の利益をも考察して価格を出します。
有名選手の引退試合などは、是が非でも見に行きたいという人も多いために、価格はかなり高くなります。
日本でも、2016年から福岡ソフトバンクフォークスが一部で実証実験を始め、2017年には東北楽天ゴールデンイーグルスが導入しています。
また、今年は横浜DeNAべイスターズもダイナミックプライシングのチケット販売を開始する予定です。
余談ですが、最近驚いたのは、天気予報の当たる確率が上がったのは、気象庁が優秀になったのではなく、AIが予測を始めたからだということでした。
ベテラン気象庁職員のお天気分析よりもずっと早く正確に分析結果を出して警告を発するようになっているというのですから、AI、恐るべし。
ダイナミックプライシング時代には、自分の価値観の物差しが必要。
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昔、日本には「定価」というものがありました。
「定価」とは、前もって決められた価格です。
実は、まだ日本に「定価」があった頃、海外に行って驚きました。
海外には「定価」というものが存在しなかったからです。
けれど、今から20年ほど前、グローバル化がはじまって以来、日本でも「定価」が消え、代わってメーカー希望小売価格やオープン価格、参考小売価格が出てきました。
今や全国で同じく定価販売されているのは、書籍や新聞くらいになっています。
こうしたものは、文化の振興に必要ということで、独占禁止法の例外となっているからです(再販売価格維持制度)。
ですから、同じメーカーの同じ家電製品を買っても、ネットと家電量販店、デパートでは価格が違っています。
店側が、自分のところで値付けするからです。
値付けの選択肢を広げる「ダイナミックプライシング」
今まで売る側がつけていた値段を、AIが多角的な大量の情報を元に瞬時に値決めしていきます。
現在、電気料金などでもダイナミックプライシングの実証実験が行われています。
いま電気料金には、使う時間帯によって高くなったり安くなったりするプランがありますが、AIの導入で、これがもっと細かく設定されるようになりそうです。
時間帯平日と休日だけでなく、気候変動や使用時間などから決まってくるようになると、使う方もなるべく安い時間帯に利用するといった工夫や節電の工夫も必要となるでしょう。
さらに、日本ではインターネットで物を買う市場規模が15兆円を超えていると言われていますが、オンライン店舗などは普通の店舗よりもダイナミックプライシングに馴染揉みやすいために、同じ商品でもどんどん価格が変化してくるというようなことが出てくるでしょう。
価格がより流動化するダイナミックプライシングの流れは、止まりません。
だとすれば、私たちは、自分の中にしっかりモノの価値の物差しを持ち、
「これでは高すぎる」
と判断できるようにしておきましょう。(執筆者:荻原 博子)