一口に「財産」といっても、
・ 有価証券
・ 不動産
・ 土地
・ 現金
などその形はさまざまです。
いくつかの種類に分散して管理する人もいる一方で、貯蓄額が増えても銀行預金に入れたままというケースも多く見られます。
しかし、預け先がどんなに大手の銀行であってもあくまで一企業なので、絶対につぶれないという保証はありません。
銀行が破綻したら、貯金や保証はどうなるのでしょうか?
増やす目的だけではなく守るためにも、資産の分散は必須です。
今回の記事では、銀行預金の保証の仕組みとリスク回避のための資産分散の方法について解説します。
目次
銀行が破綻したら資産はどうなる?

今お金を預けている銀行が潰れたら、預金はどうなってしまうのでしょうか。
現在、銀行の預金は預金保険機構の「ペイオフ制度」で保護されており、普通預金や定期預金の場合1人あたり元本1,000万円+利息までが保証されます。
ここで注意が必要になるのが、保証が「1人あたり」となっている点であり、1つの口座に対してではなくその銀行に預けた全てのお金を合算した金額が対象です。
さらに、これはあくまで保証であって、破綻後にすぐに請求できる仮払いは60万円が限度です。
一旦60万円は戻ってきても、残りのお金がいつ返されるのかは分からないのです。
老後の生活費のつもりで1つの銀行にまとめて預金していたら急に倒産してしまい、さらに破綻処理が長期化して60万円しか戻ってこず、生活が苦しい…なんてケースも想定されます。
また、外貨預金の場合はペイオフの対象外になるので、払戻金はほとんど期待できません。
1,000万円を超えているかどうかに関わらず、1つの銀行にまとめて預金することは危険だと考えられます。
若年層を中心に人気のネット銀行でも、都市銀行でも地方銀行でも必ず預金保険制度に加入しているので、どの銀行が破綻しても同様のペイオフを受けられます。
万が一の場合に備えていくつかの金融機関に分けて預金する方が得策でしょう。
お金を守る「資産分散」の考え方
銀行預金をする場合にはいくつかの金融機関に分散することを提案しましたが、資産を銀行預金に集中させること自体にもリスクがあります。
今は超低金利時代のため銀行預金ではほとんどお金が増えず、さらに物価の上昇や消費税の増税でお金の価値が簡単に落ちてしまうのです。
といった考え方で今の生活をベースにした金額を貯金していると、現役引退する頃にはお金の価値が下がっていたり、年金が減額されていたりといった想定外の事態により突然「老後貧乏」に陥る可能性があります。
こういった事態を逃れるために必要なのは「資産を分散する」ことと、「資産を増やす」ことの2点です。
銀行預金だけではなく株や不動産、金(コモディティ)、タンス預金などさまざまな形に資産を分けることです。
株は手軽に始められますが、単銘柄の株ばかり買っているとその会社の経営が悪化すると一気に損しますし、銘柄選びのための情報収集が大変です。
また、不動産などは単価が高く地価の変動などのリスクも高いので一般家庭に手の出せる代物ではありません。
貯金しかしていない人にオススメ「投資信託」
銀行預金では会社が破綻した時の保証に限度がありますが、投資信託の場合にはその限度がありません。
投資信託を保有すると
・ 運用会社
・ 信託銀行
などの会社との取引がある状態になりますが、いずれの会社が破綻しても資産を失うことはない仕組みになっています。
販売会社が破綻しても信託財産は信託銀行が管理しているので保有していた信託は別の販売会社に移管され、資産が無くなることはありません。
運用会社が破綻した場合には他の運用会社へ引き継がれるか、あるいは繰上償還されます。
また、信託財産は信託銀行自身の財産とは区別して管理することが法律で義務付けられていますので、信託銀行が破綻しても信託財産への影響はなく、他行へ移管あるいは解約の形で資産が戻ってきます。
手数料や報酬が低い商品も登場
投資信託の中には手数料を過剰に搾取したり、運用実績が悪く信託者に大損をさせる危険性のある商品はあります。
しかしここ数年の間に手数料のかからない「ノーロード型」や信託報酬の低いシリーズの商品も多く出てきており、一般消費者にとって手の出しやすい環境が整ってきました。
財産を守りながら増やす
投資信託であれば相反する値動きをする株式と債券を適度な配分で保有することが簡単にできますし、不動産やコモディティなどのさまざまな資産に分散させることも可能です。
資産を分散させて安全を確保しつつも着実に金額を増やしていけます。
預金もある程度残した上で、老後資産や教育資金といったすぐに使わないお金は投資信託の形で保有する、というのが現状では最適な資産管理法ではないでしょうか。
預金がある程度貯まっているという方や将来の生活資金が確保できるか不安だという場合には一考の価値ありです。
貯金がいくら貯まったら分散するべきか
貯金額がいくらに達したら資産分散を考えるべきなのでしょうか。
最初に銀行が保証してくれる額は1,000万円までと解説しましたが、1,000万円まで貯まるのを待つ必要はありません。
1つの指標として、半年分の生活費を超える預金が貯まったら資産分散を始めてみるべきだと筆者は考えています。
失業などのアクシデントがあっても半年間あればさまざまなアクションができますし、それ程まとまったお金が突然必要になることは少ないためです。
資産分散を始める場合、最初からリスクの高い株式投資や不動産投資は行わず、まず低リスクなインデックス投信や債券から始めてみることをオススメします。
それでもやっぱり投資は少し怖いな…という場合にはせめて預金する銀行を分散するか、証券会社に預けてMRFの形にしておくなどの措置だけでも取っておくと万が一の時に安心です。
財産を守る「分散管理」
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一生懸命働いて貯めてきた預金を、銀行破綻とともに全て失ってしまったら…考えてみるだけで恐ろしい悲劇ではないでしょうか。
大事な財産を守るためには適切な分散と管理が必須です。
すでにいくつかの資産に分散しているという方も、これを機にどこかに偏ってしまっていないか今一度見返してみてください。
正しい管理法を身につけて、未来の自分が困らないようにきちんと対策しておきたいところです。(執筆者:島村 妃奈)