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認知症による事故やトラブル
認知症になってしまうと、思わぬ行動を起こしてしまいます。
その理由は、善悪の区別がつかなくなったり、先の見通しがつかなくなるためです。
代表的なものでは交通事故が有名だと思います。

認知症があり引き起してしまう事故やトラブルについてまとめてみました。
・ 徘徊により自宅に帰れなくなったり、交通事故に巻き込まれる
・ 被害妄想等によるご近所トラブル
・ 他人のものを破損させる行為
・ 他人への粗暴行為
これらのものは全て私が職務中に体験したり、耳にした出来事です。
認知症になってしまうとこのようなリスクがあることを理解しておく必要があります。
多額の損害賠償を請求されるケース
平成19年に認知症高齢者が徘徊し、電車事故に巻き込まれた事故がありました。
そして、その家族に対して損害賠償が請求されました。
日ごろから家族は十分認知症の症状に配慮した生活をしていたそうですが、それでも防げない事故などが起こり、家族に介護への不安が強まったという出来事でした。
在宅介護をしている家族は必死でお世話にしています。
近隣住民に迷惑をかけないようにしたりする配慮も多くの人が経験していることでしょう。
それもに関わらず、事故の被害者や加害者になるケースは考えられます。
家族の努力には限界があり、どうしても避ける事ができないこともあります。
下のグラフでも、今後ますます認知症高齢者が増えていくことが予想されますので、今後社会問題のひとつになることは間違いないでしょう。

認知症高齢者が起こす事故に備える保険
このようは背景を鑑みて久留米市は「認知症高齢者等個人賠償責任保険」の導入をしています。
保険の概要
認知症の人が他人にケガを負わせたり、他人の財物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負う場合に備えて、認知症の人を被保険者とする個人賠償責任保険に市が契約して加入するものです。

最大の特徴は、保険料の全額を市が負担するということです。
家族や本人の負担がなくて助かります。
「認知症高齢者等個人賠償責任保険」は拡充するのか? 対応策は?
今後認知症高齢者が増えることが予想されるなか、高齢者やその家族が安心して生活が送れる制度です。
しかし全ての自治体がこのような取り組みを行うには財源に不安がありそうです。
久留米市以外では神戸市も取組んでいます。

全国の自治体で対応するのは難しいのが現状です。
当面は個人レベルで考えて、各自で民間の保険に加入してそなえることが懸命でしょう。
まず、一番身近なものは認知症高齢者が加害者になる交通事故です。
家族や本人の自覚がないまま引起す可能性がありますし、周囲の静止を振り切って強引に運転し事故を引起すことも考えられます。
既に保険に加入しているという人も補償の内容を確認しておくことをおすすめします。(執筆者:陽田 裕也)