これまで、深刻な人材不足を解消するため介護職員の給与アップ(処遇改善費)をしてきました。
私の勤める施設では、介護職員は約3万円アップしており、ボーナス月にまとめて受給されています。
年間40万近くアップしたことになります。
しかし、まだまだ現場は人材不足なのです。
その事を国はもちろん理解しており、さらに今年介護職員の処遇改善費を充実することが決まっています。
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目次
今年2019年10月からは「介護職員等特定処遇改善費加算」を導入
これまで以上の処遇改善が必要とされ、「介護職員等特定処遇改善費加算」が導入されることが決まっています。
この加算は、経験や技能のある介護職員などの賃金を他の職種と遜色ない水準に上げて、介護人材不足を解消するのが狙いです。
「特定処遇改善費加算」の概要については以下の通りです。
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この新しい加算で、国は介護職員の平均年収440万円を目指します。
目安として勤続10年以上の介護福祉士なら月額平均8万円アップする計算です。
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440万円という数字は平均です。
上記の表を見れば、どのような事業所で働けば効率よく加算を受ける事ができるか分かります。最大は訪問介護で6.3%ですね。
介護職員以外はどうなる?
私の勤める施設でも当然のことながら対象は介護職員のみです。
これまでの処遇改善費の場合、施設の善意で私を含む他の職種・部署(栄養士・ケアマネ・看護師等)も介護職員の半額をいただいていました。
これは持ち出しで上乗せされていました。なので、介護職員が月々3万円とすれば、私達他の部署は1万5,000円をいただいていたのです。
今回の特定処遇改善加算も介護職員以外は対象にならないようなので、社会福祉士の私も対象外ということになります。
ここで一番問題になるのが、ケアマネジャーです。
ケアマネジャーの受験資格をご存じでしょうか? 介護福祉士等の資格を取得した後、5年の経験が必要なのです。
ということは、介護福祉士の資格を取得してさらに頑張った人がケアマネジャーと言っても過言ではありません。
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上のグラフをご覧下さい。
圧倒的に介護福祉士がケアマネジャーになっているのが分かります。
今回の特定処遇改善加算によって、ケアマネジャーの給与を介護職員が逆転する可能性が出てきたのです。
これでは現場のケアマネジャーは納得できないでしょう。
介護人材不足の解決だけでは少子高齢問題を解決できない
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国は介護人材不足を解決すれば少子高齢問題を解決できると考えている部分があるようです。
高齢者施設で働く職種は介護職員だけではありません。
私の勤める特別養護老人ホームでも上記のような職種があるのです。
同じ施設内で働いている介護職員だけの給与がアップすると、他の職種(部署)が納得できないのは当然ではないでしょうか?
高齢者ケアに携る全ての人に対して給与アップを行わなければ、根本的な問題解決にはならないと思います。(執筆者:陽田 裕也)