マイホームを購入しようとするとき、まず悩む問題です。
どちらが適しているのかは、住む人のライフスタイルや価値観によって正解が異なります。
そして自分なりのベストと思ってどちらかを選択しても、実際に生活してみると隣の芝生が青く見えることがあります。
「やっぱりマンションより戸建てでしょ」と迷いなく決めた我が家ですが、マンション住みの方より明らかに大変だなと常に感じることがあります。
その1つ1つはちょっとしたことであっても、何十年も住み続けるとなると大きな負担やストレスになる場合もあります。
家を購入するときにマンションと戸建てで迷っている方は、自分ならその大変さを長年許容できるかどうか想像してみてください。
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目次
1. 庭
マンションではなく戸建てを選ぶ理由として、「庭がほしいから」があると思います。
広い庭でガーデニング、子どもを遊ばせ、週末はバーベキューなどを楽しみがたくさんあります。
でもそれは、広い土地を買える予算がある場合か、郊外のゆったりした敷地の住宅街でこそ叶えられる夢です。
子どもが庭で遊んで満足するのはせいぜい未就学児までで、結局公園に行かないといけません。
敷地が広い戸建てばかりのゆったりした住宅街でもない限り、バーベキューをしようものなら隣近所にニオイや話し声でけっこうな迷惑がかかります。
仮に「気にしないでね」と言ってくれる方だとしても、頻繁だとぜったい気になるはずで、住宅街でのバーベキューはしないほうが無難です。
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また、ガーデニングはけっこうお金と手間がかかります。
それなりに見栄えのいいガーデニングをしておかないといけないので、季節ごとに花の苗を買ってきて植え替えが必要です。
虫取りや水やりが案外忙しく、夏場に数日不在にするとなると水やりが気になってしまいます。
苗だけでなく肥料やガーデニンググッズなども定期的に購入費用がかかります。
さらに、木を植えている場合は、大きくなってくると剪定を頼んだりしないと自分ではできなくなることも。
庭の植栽をいい感じに保つのは経済的・時間的にゆとりがないとむずかしいです。
ガーデニングしない前提で外構をつくっても、土があればどんなに狭い場所でも雑草は生えるし、草取りは面倒です。
たとえば隣地と1メートル未満のスキマの草取りだったりすると、しゃがむのもいっぱいいっぱいでつらい作業です。
夏は一階の窓を開けると蚊が入ったりしますし、どこかのネコがフンをしてたりすることもあり、庭があるがゆえの悩みも多いのです。
マンションだったら、管理費でいつも最良のグリーンを保ってくれるのでラクだし気分もよいですよね。
2. 窓
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戸建てだと四方に窓がつくれるので、マンションより窓が少ないということはまずないでしょう。
マンションによくあるリビング続きの窓なし和室や、バスルームやトイレに窓がない、なんてことはありません。明るいし風通しがよくて、すごくいいです。
ですが、窓が多いぶんカーテン取付けなどの初期費用はマンションより高くなりやすいです。
しかも、吹き抜けがあったりロフトがあったりと戸建てならではの天井が高いつくりだと、窓の大きさや形・高さもバリエーションに富んでいたりします。
その分、ロールカーテンだ、ブラインドだと特殊オーダーが必要になりさらに割高になります。
そして窓が多ければ掃除する場所も多くなるということを忘れてはいけません。
しっかり窓ふきして網戸も掃除しようとするとそれこそ1日がかりです。
当然、カギをかける場所も多くなるので戸締りの確認にも時間がかかります。
高い窓や網戸を掃除するための道具をそろえたり、掃除の労働時間を換算すればそれなりのコストがかかります。
吹き抜け上部の高窓や天窓などがある場合は、窓掃除を業者に依頼したり、窓のメンテナンスや修理などさらにコストがかかる場合もあります。
戸建ての設計をするとき、デザイン性や機能性を重視した窓をつけたくなりますが、初期費用はがんばって出せても維持管理はどうなのか考えてみましょう。
3. 階段
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平屋を建てることが可能ならよいのですが、ほとんどの場合2階建て以上になると思います。
階段部分は面積的にもムダが出るのはもちろん、掃除がメンドウです。
掃除機にしてもモップにしても平面の床の様にササーッとはいかず、しかも一段一段の隅に汚れが残りがちで、だんだん経年感が出てきてしまいます。
1階で洗濯して2階に干すというつくりだと、毎日のことなので本当に大変です。
2階には全然上がらないと話す高齢のご近所さんを見ると、歳を取ったらさらに深刻なのだろうなと思います。
家の中で運動ができると前向きに考えるしかありません。
ほかにも、子どもたちが2階に1人で行くのが怖いと言うのでいちいちついて行ってあげたり、大きくなったら2階に行くのを億劫がってバッグや着替えをリビングに放置したりします。
マンションが多い地域なので、遊びに来た子どもの友だちがおもしろがって「階段があるよ~」と勝手に上がってしまい困ったことも1度や2度ではありません。
階段さえなければそんな問題もないのかなと思ったこともありました。
もちろん、空間がきっちり別れること、マンションのように上下の音に気を使わないでいいことなど、戸建てだからこその大きなメリットはあります。
それでも、フルフラットで暮らせるマンションはやっぱり便利だなとあらためて思うのです。
4. プライバシー
戸建ては、マンションのように壁や床が他の世帯とつながっていないので音の問題はありません。
しかし壁づたいの音はなくても窓をお互い開けていると隣の家の生活音が聞こえることはあります。
また、密集地の狭小住宅なら、洗濯干しのベランダや庭に出た時などお隣さんとはち合わせすることもあり、距離感はマンションとそう変わらない場合もあります。
プライバシーの点で戸建て最大のデメリットは、外から生活感が分かるということです。
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一般的なオープン外構の家の場合、庭や玄関回りの整え方や洗濯物の干し方などでキレイ好きなのかそうでないのかなど、なんとなくの人間性がにじみ出てしまいます。
芸能人でもない限り表札を出すでしょうから、名前もバレます。
不審者目線で見ると、どの人がどの家に住んでいるか数日観察すればすぐ分かるでしょう。
子どもが小さいときはとくに心配になります。
いっぽう、マンションなら部屋番号までは特定されにくいです。
それに、玄関や窓からの明かり漏れで夜の不在や遅くまで起きているなども分かり、窓の場所や形でトイレやお風呂の場所も察しがつきます。
窓が通りに面していたり、隣の家の間取りとのかね合いによっては気になるところです。
車庫が近いのが戸建てのメリットではあるものの、シャッター付きガレージでなければ車があるかないかは一目瞭然です。
よく出かけるとか、いま不在とか、生活パターンも丸見えです。
マンションと戸建てのメリットとデメリットは表裏一体
例にあげてきたのは、マンション住まいからすると戸建てならではの憧れポイントでもあります。
大変だといいつつも、わたしは実際ガーデニングを楽しんでいて、気がつけば庭の花を何十分もながめていたりと癒しになっている部分も大きいです。
さらにご近所さんとガーデニングの話をしたり、株分けしたりの楽しみもあります。
天気のいい日に家中の窓を開けて気分爽快になったり、たくさんの来客があっても階段に腰かけられるので大丈夫だったり、戸建てのよさを実感することがたくさんあります。
なにより、道路から玄関、玄関から車までが近いというのは、出かけるときにストレスフリーでマンションにはない魅力といえます。
マンションがうらやましくなることもありますが、では高い管理費などを払ってまで不満を解消したいかというと、わたしはそうではありませんので戸建てでよかったと思います。
なにごともメリットとデメリットは表裏一体です。
大切なのはマンションと戸建ての異なる部分をあれこれイメージしてみて、長いスパンで考えたときに自分はどちらがよいと思えるのかではないでしょうか。(執筆者:野原 あき)