皆さんの中ではは老後への備えを現在考えている人、または、既に実行している人などがいらっしゃると思います。
その方法としては、単純に貯金をするとか、生命保険会社の個人年金保険に加入するとか、最近話題のiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入するとか、いろいろと選択肢があります。
そこで、今回は「低解約返戻金型終身保険」による老後資金の形成についてお話ししたいと思います。

目次
「低解約返戻金型」とは
この保険の名前にある「低解約返戻金型」とは、その名のとおり解約返戻金が低く抑えられるタイプの保険商品を表します。
解約返戻金は、契約者が保険会社に将来の保険給付のために預けていた保険料の元利合計です。
「低解約返戻金型」は、実際に解約した際の解約返戻金が通常のタイプの解約返戻金の70%に抑えられるというものです。
このように解約返戻金を低く抑えることにより保険料を安くできるという長所を持っています。
「低解約返戻金型終身保険」は終身保険です。
保険期間は終身ですが、保険料払込期間は一定年齢まで、例えば60歳とか65歳まで、とすることが一般的です。
また、解約返戻金が低く抑えられる期間は、この保険料払込期間中のみであることが一般的です。
すなわち、保険料払込期間が終了すると解約返戻金の水準が大きく増加します。
「低解約返戻金型終身保険」の月払保険料と解約返戻金の水準
ここでは、ある「低解約返戻金型終身保険」の月払保険料と解約返戻金の水準を見てみましょう。
・ 被保険者:40歳男性
・ 保険期間:終身
・ 保険料払込期間:65歳まで(25年間)
・ 保険金額:500万円
このとき、この「低解約返戻金型終身保険」では、
・ 65歳到達直後の解約返戻金:441.66万円
となります。
そこで、払い続けた保険料の総額と解約返戻金の水準を比較してみると、
・ 解約返戻金 = 441.66万円
・ 返戻率 = 解約返戻金/保険料の総額 = 441.66/420.3 × 100 = 105.0%
となります。
払い続けた保険料よりも高い解約返戻金が戻ってくるわけです。

メリットは、高い返戻率だけではない
「たかが105.0%」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれだけではなくて、
(2) 生命保険料控除が受けられて、この例の場合では年間4万円の所得控除となる。
もあります。
特に、(2) については「4万円 × 所得税率」が年末調整や確定申告で戻ってくるわけですから、その分保険料が安くなったと考えることができるわけです。
所得税率を20%と仮定しますと、4万円 × 0.2 = 8,000円が戻ることになるわけで、仮にこれが25年間続けば、
です。
先ほどの返戻率を求める際の保険料の総額からこの20万円を引くと、420.3̠ – 20 = 400.3万円
となり、この額を用いて返戻率を計算すると、
と、さらに返戻率が高くなるわけです。
この低金利環境下で、25年間一定額を払い続けて110%を超えるというのは、他の運用ではなかなかできないことかと思います。
保険料払込期間中に解約すると元本割れする
これをするには注意が必要です。
あくまでも「低解約返戻金型」であることから、保険料払込期間中に解約をしてしまうと解約返戻金が通常タイプの70%に抑えられてしまいます。
返戻率が100%を大きく下回る、すなわち元本割れをしてしまうということです。

「保険料を支払えなくなって解約する」といったことにならないよう、保険料や保険金額の設定が重要です。(執筆者:添田 享)