筆者は仕事がら個人投資家の相談を受けていますが、時折次のような内容のご質問をいただきます。
これはなかなかに難しい問題です。
また、読者の方にも今後訪れる可能性のあるテーマなので「本記事でまずどうすべきか?」ということを考えます。

目次
これだけは避けるべき2つの行動
もし、これまでに資産運用を全くしたことがない方が1,000万円を投資に回そうとした場合、次の2つの行動をすることが考えられます。
2. 信頼できる担当者にお任せする
この2つです。
しかし、結論からいうと、この2つの行動は投資初心者の方にとってはあまりよくない結果になります。

売り手側に相談・お任せしてはいけないシンプルなワケ
どうして「売り手の銀行や証券会社の窓口に行って相談する」をしてはいけないのでしょうか。
それは単純に「コストが高くて不利になりやすい」からです。
少し想像をしてほしいのですが、売り手側の建物や販売員さんは立派ではありませんか?
その立派な建物の家賃あるいは建築費、そして販売員さんのお給料はだれが負担しているでしょうか?
もちろん収入源は複数ありますが、その一つは私たち売り手が支払う「コスト」です。
そして売り手側も商売ですから、できるだけコストが高いものをおすすめしてきます。
これは悪いことではありません。しかし、投資家側から見ると単純に不利な条件です。
なぜなら同じような内容でずっとコストの安いものがあるからです。
そのため、おすすめされたコストの高い金融商品を「買う・頻繁に買い替える」のは長期的に見て不利になることが考えられます。
信頼できる担当者に任せない
2つ目の注意点は、「信頼できる担当者にお任せする」です。これもいけません。
売り手はセールスのプロであっても、必ずしも資産運用の専門家ではありません。
それどころか、彼らの頑張りと市場や株価の値動きは無関係です。
彼らが頑張っても運用成果は良くなりませんし、さぼったから悪くなる、というものでもないからです。
良書を十冊読めば、大体はわかる

初心者の方からすると「何もわからないのだから相談するほかないではないか」と思われるかもしれません。
しかし、本来、合理的な投資はシンプルな内容です。
大きな書店へ行って、投資信託の本を十冊も読めば、大抵の金融機関の売り手よりも詳しい知識を得ることができるでしょう。
繰り返しですが、売り手とはセールスのプロであり、資産運用のプロではないからです。
筆者も解説本を数冊出していますが、手前味噌なので別の筆者をおすすめします。
筆者のおすすめ本はこのサイトにも記事を執筆されている山崎元先生の本です。
ちなみに筆者は山崎元先生に面識・関係はありません。
中立な立場で見て、大変に良書です。
非常にわかりやすく資産運用のポイントを押さえてありますので、初心者の方にこそ読んでいただきたいと思います。
ちなみにどれもおすすめですので、何を買ったらよいかわからない方は、とりあえず10冊買えば、他の作者の本は買わなくても良いと筆者(私)は考えています。それくらい良書です。
仮に1,000万円を手にしたらすべきこと
それでは、もしも、投資をしたことがない方がまとまったお金を手に入れた場合、どうするべきかをまとめます。
・ 売り手に相談しない
・ 信頼できる人に任せない
・ まず最初にすべきことは、じっくり落ち着いて読書をする
・ それ以降に、金融商品や投資額を考える
資産運用は、初心者の方でも専門家でも、ある程度の分散投資を行えば運用成果には差がありません。
いえ、コストがかからない方が個人の方がより有利になることもあります。
それは、運用成果は市場の値動き次第だからです。
誰に任せても市場平均を長期で継続して上回る成果は期待できないのが現実だと筆者は考えます。
もしいま、まとまった資金を持っていて「何を買おうかな」と迷っている方がおられたら、書籍を10冊読むことをおすすめします。
読書は立派な人的投資
投資とは市場などのお金の総和が大きくなることを期待して行うものです。
10冊買うと1万円程度の資金が必要になると思いますが、それは自分への人的投資です。
長期的に見ると、その1万円程度の自分への投資が、長期では数百~数千万円の差になることがあります。
運用成績を市場の平均に最も近づけるには、自分への人的投資こそが最短のルートなのかもしれません。
本記事が読者の方の合理的な資産運用の一助になれば幸いです。(執筆者:佐々木 裕平)