介護保険サービスの利用が一般的となっている今、介護保険サービスを利用するうえでの節約は、ケアマネージャーの助言などによって既に実践している人も多いことでしょう。
節約しながら満足のいくサービスを得るためには、行政が独自で行っているサービスや民間企業が提供するサービスなど多くの社会資源を知ることがカギになります。
特に、行政が行っているサービスは、利用する側がどのようなサービスがあるのかを知り、必要があれば自分で申請するというスタイルが多いので、住所地の行政ではどのようなサービス(制度)があるのかをしっかりと把握しておきましょう。
名称や内容は各市町村で異なりますが、多くの市町村で行っているにも関わらず見落としがちなサービスを2つご紹介します。

目次
1. ひとり暮らしにおすすめ お得に緊急通報装置を利用する方法

離れて暮らす親御さんが一人暮らしの場合には、とても心配です。
そんな時考えたいのが緊急通報装置の存在です。
介護を考えたときに耳にされた方もいるかもしれません。
緊急連絡装置は「安心電話」や「ふれあい電話」という名称で呼ばれることもあります。
対象となる高齢者のご自宅の電話機などに、緊急通報できる機械を取り付けます。
気になる料金ですが、市町村によっては月額料金が無料のところもあります。
一方、市が民間の委託業者と提携している場合は、月額1,000円前後の利用料金を利用者が支払うしくみになっている場合もあります。
このように利用料金が発生する委託業者と提携している場合ですが、単純に考えると委託業者と個人契約しても同じような気がします。
しかし、詳しく調べてみると、市町村がいくつかのオプションを付けた上でサービス提供するスタイルをとっている場合がありますので、個人契約よりも市を通した方が安く、多くのサービスが付いているということがあります。
対象者の条件やサービス内容、料金は地域差がありますが緊急通報装置を考えられている方は、お住まいの市にも確認してみることをおすすめします。
例えば、秋田県男鹿市では、ALSOK(アルソック)と提携しています。
料金については、個人で同様の契約をすると月額2,500円前後がかかりますが、市に申請することで月額900円で利用可能です。
また、緊急駆けつけサービスの他に、
・24時間体制ではないものの管理栄養士、ケアマネージャー、心理カウンセラーなどの専門職と通話できるサービス
なども付いています。
※参考:秋田県男鹿市 高齢者福祉サービスのご案内 (pdf)
緊急通報サービスは、これまでは市町村の社会福祉協議会が主体となってサービス提供しているのが一般的でした。
しかし、市が民間の警備会社に委託しているケースもありますので、費用がかかっても緊急対応と介護、生活全般の相談を一体的にできるサービスを受けたいと考える方にとってニーズが高いといえます。

離れて暮らす親に是非、と考える家族もいるでしょう。
市が利用料の一部を負担していることで、様々なオプションが付いた状態で個人契約よりも安く利用できるという点に大きなメリットを感じます。
2. 介護保険を利用する前にチェック 高齢者生活援助事業(軽度生活援助事業)

日常生活所の援助は、必要な高齢者の家屋内の掃除や家の周りの除草、除雪などを行います。
在宅高齢者が軽度の生活援助を受けることで、自立した生活の継続や要介護状態にならないよう、防止することを目的とした事業です。
対象者の条件やサービス内容、料金は地域差がありますので、お住まいの地域で確認が必要です。
介護保険サービスでは頼めないことがサービスになっていることもあります。
1例として、宮崎県都城市が行っているサービス内容をご紹介しておきましょう。
宮崎県都城市が行う高齢者生活援助事業(軽度生活援助事業)
対象
要介護認定で要支援1.2と判定された方、または地域包括支援センターの行うチェックリストの該当する方で総合事業の訪問介護サービスを受けていない方が対象です。
サービスの内容
1日2時間を限度として月に10時間の範囲で以下のサービスを利用できます。
・ 食事の支度(買い物、宅配の手配)
・ 衣類の洗濯、補修等
・ 居室の掃除
・ 日用品の買い物
・ 関係機関との連絡など
利用料金
援助員1名の派遣で1時間当たり200円の負担が必要です。
固定観念にとらわれず、広い視野を持つこと
介護保険の制定により、介護認定を受けることでさまざまなサービスを利用できるようになりました。
しかし、何らかの支援を必要としながらも、介護保険認定では非該当である方や思ったよりも軽介護度(要支援)であるという方もいます。
介護保険サービスでは補うことのできない支援が必要だという場合もあります。
特に、ヘルパーにお願いしたいことが介護保険適用外のサービスであった場合、全額自費で依頼するしかありません。
全額自己負担という金額はとても高額になります。
ならば我慢しようと考え、支援を受けないことで生活の質が落ちてしまう恐れもあります。
そのような時は、今一度、居住地の市町村の独自の制度やサービスを確認してみましょう。
併せて、シルバー人材センターや民間企業のサービスも確認しましょう。
介護の事は介護保険サービスで何とかしなければならないという固定観念にとらわれず、広い視野を持つことです。
多くの情報を集めることで、少額で満足のいくサービスを見つけることができたら、介護費用だけでなく心身の介護負担の軽減にもつながります。(執筆者:佐々木 政子)