多くの保険会社が、他社との差別化を図ろうと、さまざまな特約を販売しています。
それらを全てつけたなら、万全の保障ができあがるかもしれませんが、保険料のことを考えるとそうもいきません。
今回は、「使わない特約の見分け方」のコツをお教えします。
目次
「使わない特約」はとても安い
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「使わない特約」の特徴はなにか?
それは
ということです。
保険料は、金融庁のお達しで計算方法も、計算に使うデータも、きっちりと決められています。
その引用元データは、全保険会社の「支払い実績」が基になっています。
・ 支払い実績の多い特約 = 今後も払う確率が高い = 保険料が高い
・ 支払い実績がほとんど無い特約 = 今後も払う確率は低い = 保険料が安い
当然の理屈でしょう。
つまり、金額の安い特約は、使う可能性が低いということです。
使わない特約の筆頭は「通院特約」
「通院の方が多いから、通院特約をつけよう」と、思うかもしれません。
しかし、ほとんどの会社の通院特約が「入院の後の通院」あるいは「入院が終わった後、その入院に関わる前後の通院」が支払対象とされています。
「通院だけで終わった」場合の通院は、支払われません。
さらに、「入院から〇日以内に開始」で、「〇回まで、もしくは、入院から〇日以内の通院に限る」と、他にもいろいろ条件が厳しく、該当する通院がなかなかないのが現実です。
保険会社の中には「支払う可能性の低い特約は、お客様のためにならない」と潔く廃止してしまっているところもあります。
先進医療特約はどう考えるか
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先進医療特約も、とても安くつけられる特約です。
先ほどの理屈でいけば、支払われる確率がとても低い特約です。
この特約も、条件が非常に厳しいのです。
先進医療を受けるケースが非常に少ない
そもそも「先進医療」と呼ばれる技術は、いくつかの大学病院など限られた施設で実施される先端技術を用いた医療のうち「厚生労働大臣の承認を受けたもの」だけを指します。(令和元年9月13日現在で88技術)
しかも、ほとんどのケースが、先進医療技術審査部会という機関が行う入念な審査を経て、本当に実施するかどうか判断するような「おおごと」なのです。
患者が「先進医療を受けたいです」と言ったからといって、簡単に受けられるものではありません。
また、前述の審査の中には「支払えるかどうか」という点も含まれているため、「知らないうちに先進医療を使われていて、高額請求された」ということは、絶対にありえません。
保険適用されれば高額療養費制度で負担が軽減
「先進医療」というものは、現時点の最先端技術です。
安全性・倫理性・有効性などを審査し、承認されれば「保険適用」の治療技術となります。
保険適用されれば、どんなに高額になってしまっても「高額療養費制度」が使えます。
つまり、いきなり数千万円請求されるなんてことには、ならないのです。
その特約、本当に必要ですか?
「使わない特約」は解約がおすすめ
通院特約は、せいぜい数十円から200円程度です。
先進医療特約の場合は、数百円から2,000円前後になるものもあります。
「安いならつけておこう」と思うか、「もらえないのなら、安くてもムダ」と思うかの考え方はあります。
余裕があるのであれば「つけている安心」を買ってください。
たかが数十円、されど数十円…毎月払うと、いったいいくらになるのでしょうか。
すこしでも節約したい場合は、真っ先に捨ててしまうことをおすすめします。(執筆者:仲村 希)