今年10月から消費税が8%から10%になりました。
増税は個人消費にマイナスの影響がありますが、景気を反映する日本の株式相場は下がるどころか年初来高値を更新しました。
米中貿易摩擦の一部合意を好感した世界的な株価上昇にも乗りましたが、日本株式相場がこの増税を乗り越えて上昇を続けると考える3つの理由があります。
今年の株式相場を7月にさかのぼったところから振り返り、今後想定される相場観について解説します。

目次
日本株が耐えられると考える3つの理由
キャッシュレス決済で増税分以上のポイント還元を使いこなせていますか。
小生はオドオドしながらも、キャッシュレス決済で増税の影響を受けないよう個人レベルで努力しています。
景気を先取りする株式相場は、この増税をどう反映したのでしょうか。
理由1:8月には株式相場が増税の影響を織り込んでいた
今年7/21に参議院選挙が行われ、与党が過半数を確保しました。
その後予定通り、10月に消費増税が実行されることが決まりました。
選挙前の7月は日経平均が2万1,500円前後でしたが、増税実施が確定するとみるみるうちに下落しました。
8月には2万円割れ寸前の水準まで下げ、増税による個人消費への悪影響を株式相場は織り込みました。
そうです、
のです。
増税による実際の影響が判明するのは年末近くになると思われますが、軽減税率の適用やキャッシュレス決済によるポイント還元、事前の景気対策などにより、消費の落ち込みは最小限に留まる見込みです。
10月になってからの日本株式相場では、もう増税のことは過ぎ去ったものと見られ、海外の景気情勢を反映する相場に戻っています。

理由2:とにかくユーロ圏が弱い
米ドルと日本円の為替相場が、例年になく変動しないことに皆さんお気付きだったでしょうか。
1年間の変動率は12~15%程度が例年ですが、今年は7%程度です。
これが日本株式相場が下落しない要因の1つとなっています。
ユーロ圏の景気が悪く、イギリスのEU離脱問題もあり、ユーロが下落しているからです。
米ドルが下がれば、日本円が上がるシーソーゲーム(米ドル安 = 円高)が通常ですが、
が続いています。
米国は景気がよい中でも金利を下げ、米ドル安に誘導したいのですが、
のです。
もし円高が進めば世界株価が上昇しても、日本株式相場は下落することが多いのです。
ただ今年は米ドル@105円を切る円高水準が継続する環境にはあらず、年初の@114円を超える水準にも届かない「レンジ相場」が為替相場の方向性だと考えます。

理由3:米中貿易摩擦の和解が近い
10月以降の日本株式相場は、消費増税の影響がテーマではなく、結局は米中貿易摩擦を中心とした海外事情、世界景気によって左右されます。
その米中貿易交渉はまだ継続中ですが、10月に入って一部については合意となり、為替操作国の指定解除と追加関税の発動が停止されました。
中国が音をあげるかと思いきや、中国元安誘導で関税増加分を相殺し、実質的な打撃を免れています。
核心利益は死守する構えが整いました。
相手方のトランプ大統領にも2020年大統領選挙までに実績を残さなければならないという譲れない理由があり、妥協または継続協議とする可能性が出てきました。
「米国大統領選挙の前年は株価が下がらない」有名なアノマリーは今年も健在で、
でしょう。
日本株は「景気敏感株」避け、連続増配銘柄を年内に買い
以上の理由から、消費増税でも日本株式相場が下落しないと考える訳ですが、そもそも景気後退は近付いています。
最新のIMF世界経済見通しでは、世界の9割で景気減速が見込まれているのです。
「不景気の株高」は世界的な利下げや各国の景気対策によって支えられていますが、2020年以降に景気後退へと本格的に突入する予測もあります。
日本株式へ投資する際には年内までに買い、景気敏感株を避けて、内需株かつ連続増配銘柄を選ぶようにし、負けない投資を目指しましょう。(執筆者:中野 徹)