数年前からはやっている「断捨離」や、近年人気急上昇中の「フリマアプリ」などの影響で、自宅の不要品を売る人が増えています。
不用品を売れば、部屋の片付けとおこづかい稼ぎの一石二鳥です。
不要品と言ってもまだ使えるものですし、捨てるより譲ったほうが地球にも優しいですよね。
みなさんの中にも、そう思って利用したことがある方も多いのではないでしょうか。
これから年末に向けて、大掃除も兼ねて生活品の出品を考えている人もいるでしょう。
ところで、その売上は「収入」なのでしょうか。
そして、確定申告が必要になるのでしょうか。
くわしくお話しします。
目次
まず、確定申告とは
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確定申告とは、所得税・住民税の納税額を計算するための手続きです。
そのために、1年間(1月1日~12月31日)の所得額や経費額や扶養家族の有無などを税務署に申告します。
いわゆる給与所得者は、毎月の給与額からあらかじめ納税分が引かれています。
これを、「源泉徴収」といいます。
実際の金額が確定してから行う「年末調整」も、会社でまとめてやってくれるので細かい手続きは不要です。
ただし、医療費控除やふるさと納税などは、年末調整適用外のため別途確定申告が必要です。
住宅ローンを組んだ年や、退職金を受け取った時も、同様です。
もうひとつ、副収入がある場合も申告手続きが必要です。
副収入の確定申告
副収入とは、給与とは別の収入を指します。
株取引やFX譲渡の利益、持っている土地や不動産の貸付料、原稿料・講演料、あるいは宝くじや懸賞金など、さまざまな形での収入が該当します。
副収入は、年間20万円以下の場合は確定申告が不要ですが、1円でも超えた場合には確定申告が必要です。
この「20万円」という数字を覚えておいてください。
生活用品の譲渡
例えば、
「もらったきり使っていないバッグを譲りたい」
「子どもが大きくなって使わなくなったものを処分しよう」
衣類・雑貨・玩具・CD・本・食器など生活に使うものを「生活用動産」と呼び、その売買利益のことを「生活用動産の譲渡所得」と言います。
新品中古は問いません。
これは、「収入」ではありません。
です。
家中の不要品をきれいさっぱり売り払って、合計金額が数十万円になっていたとしても、確定申告は必要ありません。
ただし、1回あたりの取引額が30万円を超える場合は、注意が必要です。
貴金属・宝石・書画骨董の場合
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ひとつ(1組)あたりの金額が30万円以上の「貴金属・宝石・書画骨董」などは、課税対象です。
これは、元値ではなく、取引時の金額です。
30万円で購入した絵画を売ったら数千円にしかならなかった場合などは、申告不要です。
また、逆のパターンも考えられます。
「CD・レコード・本・ゲーム・玩具」など、購入時は定価でも、時を経て希少価値が高まったものや、コレクション品として高く評価されているようなものは、「骨董品」として扱われる可能性が出てきます。
コレクション品の場合は、単価は30万円以下でも「セットでいくらか」が重要です。
ブランド品の場合
ブランド品の時計やバックなどはどうでしょうか。
ものにもよりますが、状態によっては譲渡価格が30万円を超える可能性も十分にあるでしょう。
それが、貴金属か生活用動産かの見極めは、その地域の税務署に任されているのが現状です。
30万円以上で売れそうなものがあったときは、事前に税務署や税理士に相談しておくことをおすすめします。
ただし、譲渡価格が30万円を超えたとしても、即課税されるわけではありません。
譲渡所得の特別控除額は50万円
特別控除とは、1年間の合計金額から「非課税分」として引いてくれる金額のことです。
譲渡所得の場合、1年間で50万円の控除額が設けられています。
例えば、ブランド品のバッグを30万円で譲渡して「貴金属譲渡」だと判断されたとしても、
と、申告する金額が残っていないため、実質申告不要です。
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1年間を通して、以下のものが売れたとします。
・ ブランド品バッグA 35万円
・ ブランド品バッグB 30万円
・ 貴金属 5万円
・ 衣類 総額3万円
貴金属5万円と衣類3万円は、非課税なので計算から外します。
が課税対象です。
副収入は20万円以下なら申告不要
ここで、先ほどの「副収入、20万円以上から課税される」という条件が登場します。
この例では、フリマでの譲渡収入が副収入として認められますが、特別控除後の金額が20万円に満たないため申告不要です。
ブランド品を出品する場合は、この金額を意識しておいてください。
営利目的と判断された場合
扱っているものは生活用動産であっても、「営利目的」だと判断された場合には課税対象となります。
個人輸入や卸業者から大量に買い付けて販売している場合は、もちろん「営利目的」と判断されます。
限定品などを購入し、高額販売するいわゆる「転売」も、営利目的として課税対象となります。
どこからが営利目的になるのかは、これもまた明確な基準がなく担当税務署の判断によります。
営利目的だと判断される目安としては、次のような点が挙げられます。
・ 月あたりの取引量が多い場合
・ 利益が大きい場合
断捨離や転居など、一気に大量出品する場合もあるかと思います。
高額取引になりそうなものがある場合には、事前に地域の税務署に相談しておくことをおすすめします。
年間の売上を把握しておきましょう
前述したとおり、申告する期間は1月1日~12月31日の1年間分の収入です。
20万円や70万円の「ライン」を超えてしまいそうな時には、翌年分に回しましょう。
アプリの場合は、売上高の記録がしっかりと残っていますから、確認しておいてくださいね。(執筆者:仲村 希)