来年2020年はオリンピックイヤーであると同時に、米国大統領選挙イヤーでもあります。
いつも4年に1度、同じ年に回ってくるイベントですが、これが日本の株式相場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
年末から来年にかけての相場の波を予想し、それを前提として自分なりの投資スタンスを考えておきましょう。
もしその予想が外れたり、時期がズレても、自分の予想を持っていると修正が早くなり、負けない投資が実践できます。
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目次
海外投資家に翻弄される株式相場の波

日本株式市場の参加者のうち、実に約7割が海外投資家であり、日本の株式相場は国内事情よりも海外の政治・経済イベントによって左右されることが多いです。
特に来年は景気減速時期に催される米国大統領選挙とあって、候補者の選定段階から日本株式市場への影響が懸念されています。
ではどの時期に、どんなポイントに注目していけば良いか、ご紹介しましょう。
ポイント1: 民主党の候補者選び
米国は2大政党制であり、現在のトランプ米国大統領は共和党です。
よって共和党はトランプ大統領の再選を前提に、対立候補が名乗りを挙げていない状況です。
トランプ大統領への弾劾裁判が可決するなど、急転直下の事態が起きない限り、共和党からはトランプ現大統領が指名されるでしょう。
株式相場への影響があるのは、対立する民主党の候補者選びとなります。
ウォーレン氏の支持率に注目
民主党の候補者には、クリントン元大統領時代に副大統領を務めていたジョー・バイデン氏が現在の支持率トップ、続いて女性初の大統領を目指すエリザベス・ウォーレン氏、バーニー・サンダース氏が名を連ねます。
バイデン氏は副大統領時代の実績やバランス感覚から穏健な中道路線を挙げ、トランプ現大統領への批判票を取り込んでいます。
一方、女性候補のウォーレン氏は富裕層への増税や大企業への増税、金融業界への規制強化に積極的な政策を挙げ、富裕層よりも中間層から支持されています。
特にウォーレン氏への支持率が上昇し、バイデン氏を逆転することがあれば、大統領選挙前から株価が低迷することが想定されます。
民主党の候補者選びは、ウォーレン氏の支持率が注目ポイントです。
なお民主党の支持率推移は、こちらのRealClearPoliticsというサイトで確認できます。
ポイント2: 来年3月3日のスーパーチューズデイ
米国大統領選挙は国民の直接投票ではなく、選挙に投票する選挙人を国民が選ぶ州単位の選挙(予備選)が各地で半年以上続きます。
その州単位の予備選が集中する日が、来年の3月3日。
俗にスーパーチューズデイと呼ばれる日です。
全米3,768人の選挙人のうち、3月3日に予備選が開催される11州だけで1,420人で、実に37%もの選挙人が確定する一大イベントです。
大統領選挙自体は11月3日に行われますが、各党から大統領候補に指名されるのは1名であり、このスーパーチューズデイで支持率を確保できない候補者は、その後の予備選への立候補を辞退する人も出てきます。
今の時点では選挙結果を展望するほど材料がそろっていませんが、この3月3日を境に候補者が絞られ、その経済・外交・社会保障などへの政策が株式相場にどのような影響を及ぼすのか、実際の株価変動が始まる時期となります。
なお再選したいトランプ現大統領からすると、この3月3日までに中国との貿易交渉を有利に終わらせ、外交実績を積み上げて支持拡大を狙いたい考えです。
ポイント3: 選挙戦のスケジュールから見る日本株式相場への影響

米国大統領選挙の主な日程を見ておきましょう。
3月~4月: その他の州でも予備選開催
7月13~16日: 民主党大会(民主党の大統領候補が指名される)
7月24~8月9日: 日本で東京オリンピック開催
8月24~27日: 共和党大会(現トランプ大統領が指名を受ける見込み)
9月末~10月: TV討論会(大統領候補3回、副大統領候補1回)
11月3日: 大統領選挙投票・開票
2月までは株価は維持
日米とも、株式相場における目下の最大の注目ポイントは、米中貿易摩擦の決着有無です。
まだ決裂もある予断を許さない状況のようですが、前述の通り、何かしらの決着を3月までにトランプ現大統領は探っています。
よって貿易摩擦の交渉決着を前提に、2月までは日米ともに株価上昇または高い位置で維持と見ています。
輸出関連や中国関連株式など景気敏感株への投資を積極的に狙いたい方は、面白い展開が期待できます。
3月に入ると乱高下
ただ3月に入ると、スーパーチューズデイの結果や日米の企業決算発表があり、国内では消費増税策が終了するため乱高下が予想されます。
8月までは維持、9月以降は後退
そこから8月にかけては、国内ではオリンピックの高揚感で株式相場は下がらなくても、終わった9月以降はイベントがなく景気後退が意識される展開が想定されます。
8月までには株式であれば鉄道や医薬、食品等の景気変動を受けにくいディフェンシブ銘柄を選ぶか、債券投資へシフトすることをお勧めします。
株価下落局面を見すえて分散投資を心がけよう
来年は本格的な景気後退が意識されており、年初高で年末安の波がありそうです。
しかも大統領選挙の候補者は、ほぼドル安論者であり、来年は大きな円高リスクも懸念されています。
米中貿易摩擦決着を起点に株価下落局面も考えられますので、債券への投資を始めとした分散投資を心掛けてください。(執筆者:中野 徹)