12/5に政府が閣議決定した経済対策は総額26兆円となり、3年ぶりの大型対策となりました。
これまでも経済対策の規模によって、その後の株価に影響が出ることが知られています。
では今回の経済対策で株価は上昇するのか、過去のデータを元に来年2020年の株式相場イメージを考えてみましょう。

目次
国費5兆円を越えると、来年の株価は上昇する
米中貿易摩擦を発端とした景気後退リスク、消費増税後の景気低迷やオリンピック後の景気減速がささやかれる中、それら悪材料に対抗するための経済対策が発表されました。
総額が10兆円を越す経済対策は1992年以降に18回、うち財政支出のうち国費を支出する規模が5兆円を越えたのは8回あり、日経平均株価は平均で+20%となりました(経済対策決定から半年間)。
今回は国費7.6兆円を支出する政府案となっており、この株価上昇局面に当てはまります。
詳しく見てみましょう。
経済対策26兆円の中身
今回の経済対策は来年以降に効果を期待した分野に投資する中身となっており、中長期な投資も含め次の3項目がタイトルとなります。
(2) 公共投資(災害復旧、成田空港の滑走路整備など)
(3) 景気の下支え(中小企業の賃上げ支援、キャッシュレス還元の予算上乗せなど)
また今回の26兆円は本年度の補正予算および来年の当初予算に計上する15か月予算で、民間の支出も含めた内訳は次のようになっています。
財政支出13.2兆円
うち国費7.6兆円(一般会計6.2兆円、特別会計1.4兆円)
うち財政投融資3.8兆円(国が民間企業に低利融資)
うち地方費1.8兆円
民間支出12.8兆円
民間企業による公共事業に相乗りした支出や財政投融資を利用した支出などの想定
経済対策の決定スケジュールと株価への影響
今回発表された経済対策は12/5に政府による閣議決定がされた状態で、年明けの通常国会において補正予算成立を目指します。
そして株価への影響は、実際の支出が行われるタイミングと過去は一致していました。
今回で言うと、2月中の補正予算成立があれば3月後半頃には株価が上昇を始めるイメージです。
政府は、GDP成長率を1.4%引き上げる政策だと発表しています。
しかし今回は2年にまたがる予算となり、本年度の補正予算は4.3兆円です。
日本の実質GDPは540兆円規模であり、補正予算がその1%に当たる5兆円を越えれば、すぐに株価上昇につながってきました。
加えて公共事業は中長期に予算を執行することもあり、今回の経済対策は急激な株価上昇というより「株価の下支え」という位置付けが強いと考えられます。
来年2020年の株式相場イメージ

それでも過去の経済対策同様、経済対策決定から半年間は株式相場が上昇すると予想します。
日経平均の12/5終値は2万3,300円、+20%の場合は2万8,000円まで上昇する水準となります。
その場合でもPERは16.9倍と過去にもあった水準、米中貿易摩擦が完全に解消することはなくても、関税が引き下げられ、イギリスのEU離脱が大きな摩擦を起こさず実行できれば、可能性がある株価水準だと考えます。
来年2020年の株価に影響を与えるであろうイベントは、次の通りです。
3月3日 米国大統領選挙のスーパーチューズデー、候補者の経済対策が判明
3月中 経済対策関連の補正予算が成立し、株価上昇へ
4月中 日本の新年度入りにより、新規資金が株式相場に流入
5月中 日本企業の決算発表
株価上昇がどこまで進むかは分かりませんが、日本企業の決算発表が集中する5月前後がピークだと考えます。
11月米国大統領選挙は僅差になる想定で、年後半は株価上昇にもブレーキがかかりやすくなります。
これら大きな政治イベントが通り過ぎないと株式相場は上昇しないし、もし政治が不安定になると株価は下落します。
そのため年後半の変動リスクを待たず、梅雨に入るまでの時期が株式投資の最盛期だと考えます。
2020年の干支は「子(ねずみ)」、株式相場の格言では「繁栄」する年に当たります。
ただ繁栄の年としても右肩上がりの株式相場は期待できないため、波にうまく乗って負けない投資に努めましょう。(執筆者:中野 徹)