税務調査で注目されるのは脱税事件ばかりですが、法律の解釈が間違っていたことを税務署が指摘することも少なくありません。
代表的なのが、経費に該当する費用の判定です。
先日脱税が発覚した芸人さんも、私用の洋服を経費に入れていたことが指摘されました。
ただ一方で、しっかり税務署に経費に入る根拠を示せば意外な費用まで経費に含めることができますので、その一部をご紹介いたします。

目次
事業用の経費として認められるのは、事業に直接使う費用のみ
まず自営業で経費と認められる支出は、その事業で直接使うものに限定されます。
そのため、プライベートで使うための道具や食事代は経費として認められません。
また、接待交際費も認められていますが、事業に必要な費用かどうかで経費の判定が分かれます。
なので、事業とは無関係の友人の食事代を「接待交際費」として経費に含めた場合には、税務署からの指摘で否認される可能性があります。
事業に必要な経費であると説明できれば焼き肉代も経費として認められる
基本的に食事代は経費として認められていません。
ただ、スポーツ選手など事業を行う上で体が資本の場合に関しては、食事代やサプリメントも経費として認められることがあります。
その際に経費として認められるか否かの判断で重要なのが、その費用が実際に事業の必要と説明できることです。
もし事業に必要である費用と説明できない場合、税務署は事業に必要ない費用と判断し否認することもあります。

公私両方で使用する支出は一部しか経費として認められない
自営業で活動している人の多くは、仕事とプライベートの両方で利用している道具や設備があります。
代表的なのが車ですが、営業用の車をプライベートで使用していた場合、プライベートで利用している割合相当の車の費用は経費として認められません。
ただ、プロゴルファーなどの移動時間も仕事として認められるケースについては、車代のすべてが経費として認められることもあります。
そのため、経費として少しでも落としたい場合には、仕事として利用していることを証明する必要があります。
経費の判断は本人が事業用として利用していたことを説明できるか否かがポイント
税務署が経費として認めるか否かの判断材料として、本人の主張も重要です。
たとえば税理士から「節税になるから」といわれて購入した道具については、仕事上で必要で購入したとは言い難く、税務署の印象はとても悪いです。
一方で、スポーツ選手本人が「この道具は〇〇のために必要」と説明できるのであれば、説得力がありますし、税務署がそれを経費として否定するためには相応の根拠を提示しなければなりません。
経費の判定は個々に行いますので、100%経費として認められると断言できる費用はありません。
ただ、仕事上で必要であり実際に利用していたことを説明できれば、大半の費用は経費として認められます。(執筆者:平井 拓)