長寿高齢化で健康寿命を長く、という取り組みが加速している日本です。
健康的に、自分の望む暮らしを老後も送ることができるということは幸せなことです。
しかし、何らかの介護が必要になった時や、介護が必要ではなくても思った以上に老後生活が長いという状況になってくると、どうしても生活資金に不安が生じてきます。
年金とこれまでの蓄えでも立ち行かなってくると、どうしたら良いのでしょうか。
今回はよく耳にしたことがある言葉「リバースモーゲージ」について、老後の生活を支える手段の1つの可能性として詳しく見ていきましょう。

目次
リバースモーゲージとは
リバーズモーゲージについて簡単にご説明すると、高齢者の自宅や土地などの不動産を担保にしてそこに住み続けながら金融機関から融資を受けることができる融資制度です。
リバースモーゲージはシニア向けの融資制度であり、死後に自宅(土地などの不動産)を売却して得た代金を融資の返済に充てる仕組みです。
リバースモーゲージの特徴
契約対象年齢は主要銀行の例では55歳~65歳の間が多くみられます。
毎月の返済は金利のみで、元金は契約者が死亡後に不動産を売却することで返済します。
資金用途は金融機関によって制限がある場合と制限がなく自由な場合があります。
但し、どの金融機関でもリバースモーゲージを利用して投資をすることはできません。
マンションをリバースモーゲージの対象とする金融機関も増えてきています。
融資額の相場
・ 不動産の評価額の7割
・ マンションは5割
とされています。
参考元:厚生労働省
リバースモーゲージのメリット
リバースモーゲージの最大のメリットは、生きている間は自宅を手放すことなく老後資金を借り入れられるということです。
リバースモーゲージのデメリット
一方、デメリットは不動産価値が大きく下落した時は、融資額の見直しがされる可能性が出てくることです。
また、金利の変動にも注意が必要です。
利息を借入残高に組み入れる場合は金利が上昇すると返済額が増えてしまうこともあります。
さらに、長寿社会ににあって、平均寿命が延びていることもあり長生きをすることで融資限度額までの資金を使い切ってしまう恐れもあることです。
このように、リバースモーゲージはシニア層にとって大変ありがたい融資制度ではありますが、景気や寿命などの予測が難しいことの影響について慎重にならなければいけません。
また、よく聞かれる問題として「もしも契約者が死亡した場合に残された配偶者が自宅に住み続けることができるのか」という点があります。
次に解説していきます。
契約者の死亡後、配偶者が住むことはできないのか

リバーズモーゲージでは契約者が死亡した後、残された配偶者が必ず家を追われるというわけではありません。
それは契約の内容によるものですが、金融機関によっては配偶者が契約を引き継ぎ、自宅にそのまま住むことができる場合もあります。
また、別の方法として、自宅を売却せずに相続人の預貯金で返済をするということもあり得ます。
いずれにしても、リバーズモーゲージについては契約段階で家族とよく相談し、
というような事態に陥らないような計画を立て、
みんなが納得した上で契約をするということが大切です。
金融機関が懸念するリスク
金融庁に調査結果によると、リバーズモーゲージの取扱銀行は平成29年9月末で47行とされています。
平成26年には15行、平成28年には35行でしたので年々増えています。
取扱金融機関が1番懸念しているリスクとしては相続トラブルです。
住宅や土地といった自身の宅地資産が老後の生活に有効に活用されることが期待できるのがリバースモーゲージです。
まだ身近でよく活用されているという印象は受けませんが、核家族化や若い世代の合理的な考え方にはマッチしていく仕組みのように感じます。
相続トラブルが回避できる状況にある方は、一考の価値があるのではないでしょか。(執筆者:佐々木 政子)