今回は、日経平均の上昇トレンド継続を見極める上で重要なポイントをEPS(1株当たりの利益)から考えてきたいと思います。

目次
日経平均は2万4,000円台を回復
米中貿易戦争における第1フェーズ合意、12月15日に予定していた関税第4弾の先延ばしを受け日経平均は2018年10月以来の2万4,000円台を回復しました。
しかし、企業業績は2018年初頭の水準まで回復しているわけではなく、企業業績の底打ち観測から期待先行で株価は上昇を続けています。
また、各主力銘柄の信用倍率はそこまで高まっているわけではないので、機関投資家も売りを仕掛ける水準とはなっていないのです。
逆に、半導体関連銘柄の信用倍率は1倍未満であるため、空売りの買い戻しが相場の上昇要因となっている節が見受けられます。
日経平均のEPSは下落している
2020年度決算では、多くの企業が減益となっており、日経平均のEPS(1株当たり利益)は1,700円後半から1,600円半ばまで100円ほど下落しています。
日経平均の理論価格はEPSにPER(株価収益率)をかけることで求めることができ、EPSが上昇しなければ理論値のさらなる上昇を期待することができないため、次期決算に注目が集まるものと思われます。
計算式は以下の通りです。
その時に重要となってくるのが、EPSの前日比であり、これが大幅に変化するかどうかに注目しておきましょう。
ソフトバンクGの決算に注目

ソフトバンクG(9984)は第2四半期決算で純利益7,001憶円の大幅な赤字を計上しました。
ソフトバンクの日経平均寄与度は非常に大きいため、日経平均のEPS回復、さらなる株価上昇にはソフトバンクの業績回復が必要不可欠といえます。
また、ソフトバンクGの信用倍率は多くの悪材料を受け異常な水準まで上昇していることから、需給が改善しなければさらなる株価上昇が期待しづらい状況に陥っています。
年末の損益通算時にどれだけ需給が改善するかに注目しておいた方がいいでしょう。
需給関係には注意しておこう
目先の日経平均は半導体関連銘柄を中心に上昇トレンドを継続していますが、さらなる上昇を期待するにはEPSの回復が必要不可欠となっています。
そのため、次期決算においてさらなる業績回復が見込めればさらなる上昇につながる可能性があります。
しかし、期待先行で株価が上昇し、楽観的なムードの中で信用倍率が高まってきた場合は、2018年初頭のような機関投資家の売り仕掛けが入る可能性がありますので需給関係には注意しておきましょう。(執筆者:白鳥 翔一)