今回は、イランと米国の対立により注目が集まる原油価格の推移について、注意点も含めて解説していきたいと思います。
目次
原油価格とは

原油には、
・ ニューヨーク商品先物市場のWTI原油
・ ロンドン商品先物市場の北海ブレント原油
・ アジア市場の指標となる中東のアラブ首長国連邦のドバイ原油
があり、これらが世界の3大原油指標と言われています。
特に、WTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、市場の流動性や透明性が高いため、世界の基軸となっています。
このWTI原油先物価格を中心とし、他の原油価格がどのように推移しているのかを確認することが今後の動向を占う上で重要になります。
イランと米国の緊張によりブレント原油先物価格が上昇
今回のイランと米国の関係悪化を受けてブレント原油先物価格は昨年末から一時8.7%上昇し70ドル台に乗せました。
特に注目すべき点は、ブレント原油価格がWTI原油価格を上回って大幅に上昇に転じている点です。
これは、イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を米軍が空爆で殺害したことを受け、イランがサウジアラビアを再び攻撃する恐れがあると米当局が警告し、世界で最も重要な原油生産地域からの供給途絶の可能性を示唆されたことが原因となっています。
WTI原油先物との価格のねじれに注意

WTI原油先物が世界の基軸として推移するため、その価格は通常他の原油先物価格よりも高く推移する傾向にあります。
ここで重要となってくるのが、
ことです。
現在の原油価格は、ブレント原油先物価格の方がWTIを大幅に上回って推移していることから、異常な推移をしているといえます。
このねじれが解消されたタイミングが相場の転換点となる可能性があるのです。
実際、2016年に原油価格が30ドル台まで大暴落した際、この価格のねじれが発生し、それが解消されたタイミングで価格は上昇トレンドに転換しました。
プログラムによる売買は、異常値が出たタイミングに動き出すと思われることから、仕掛け的な売買が入る可能性も考えられるので注目しておいた方がいいでしょう。
以上より、原油価格は機関投資家の需給に株式相場以上に左右されやすく、特に異常な価格乖離をし始めた時にはより注意する必要があります。
機関投資家の中には、原油などのコモディティーと株式をセットに売買するタイプもいるため、今後の動向には注目が集まるものと思われます。(執筆者:白鳥 翔一)