すべての経理の基本となるのが「簿記」です。
一家の家計でも、会社の経理の仕事においても、それはデジタル化が進んだ現在も変わりません。
収入や支出を見直して節約を試みるのであれば、簿記の知識は必須と言えます。
節約しやすい支出を洗い出す要となるのが「仕訳」です。
まずこちらから解説していきます。

目次
「仕訳」とは「原因と結果」の振り分けルール
おこづかい帳や家計簿も簿記の一種ですが、これらは「単式簿記」で作られています。
単式簿記とは、その名の通り1回の取引を1つの項目で表す方法です。
たとえば「6月給与 20万円」という記入方法です。
単式簿記の場合、1回の現金の出し入れは表現できますが、取引の結果は表現できません。
上の例なら「6月20万円の給与収入があった」という取引には「6月普通預金が20万円増えた」という結果が伴いますが、単式簿記ではその片方しか表現できません。
どんな取引にも「原因」と「結果」2つの側面があります。
両面を表さなければ、より正確な帳簿とは言えません。
そこで、1つの取引を2つの側面から記録する方法が「複式簿記」です。
実際の作業としては、1回の取引を左右2つの項目に振り分け、勘定科目と金額を記入する形です。
このとき、左側の項目を「借方」、右側の項目を「貸方」と呼び、どちら側にどんな項目を記載するかの、振り分け方のルールを「仕訳」と呼びます。
ここで家計に置き換えてみます。
大切なのは「1つの取引を2つの面から見てみる」ことです。
2本の軸で考えることがポイントです。
お金の「増減」を見極めよう
「仕訳」の記録では1回の取引を、借方(左側)・貸方(右側)に2つに分解します。
実際に仕訳する際、借方と貸方のどちらに何の勘定科目を書くのか混乱するかもしれません。
資産、純資産、負債、収益、費用のどれが増加しているか、あるいは減少しているかで、借方に書くか貸方に書くかが決まります。
つまり、家計においても「2つの面から見た取引を、その増減によって分類する」ことが大切です。
家計の「資金繰り」をする上で、どの項目を絞れば黒字になるかを考えながら生活することが支出を抑えるコツと言えます。
家計における「支出」にあたるのが「費用」
家計での「支出」には簿記の「損益計算書」に含まれる項目のひとつ「費用」がもっとも近しいものと言えます。
「費用」とは収益を得るためにかかったお金を指します。
そして「費用」という大きな括りの中には「勘定科目」という細かい分類項目が設定され、会社経理における
「広告宣伝費」
「地代家賃」
「水道光熱費」など
の勘定科目が分類されます。
これらの科目を抑えることにより、儲けである純利益が増えることになるのです。
もちろん、会社の経営よりも家計の方がお金の流れはシンプルです。
脂肪を燃焼しやすい筋肉からトレーニングすることで効率化を図るダイエットと同様に、支出にも増減しやすいものがあります。
費用の中でも流動的かつ費用の大きい勘定科目を追っていくことで、支出をぐっと抑えられます。
それでは、勘定科目について見ていきます。
「旅費交通費」と「通信費」がオススメ

家計における「費用」の中で、支出を抑えるのに効果的なのは「旅費交通費」と「通信費」です。
それぞれ詳しくみていきます。
旅費交通費
会社経営において商品や原材料の仕入や販売のために要した交通費、宿泊費などのことです。
かき入れ時には高額になり、逆に閑散期には抑えられる項目の1つです。
家計で置き換えても、状況的には同じはず。
タクシーで移動するところを電車と徒歩で移動したり、車を使わず自転車を使ったりなど、小さな積み重ねで支出がガクッと下げられます。
通信費
会社経営において事業用のはがき代、切手代、電報料、電話料、FAX代などを指します。
家計に置き換えると、スマートフォン(端末)代や電話料金にあたります。
スマホやインターネットの通信費はできるだけ安くしたいものです。
とはいえ、通信量を気にしながら使うのはちょっと…という方は格安スマホを検討したり、Wi-Fiの利用会社を再検討してみたりするのが効果的です。
もともと利用が控えめな方はプランを見直すと、ムダなプランなどを発見するかもしれません。
お金の流れがわかります
知識不足のままだと、無駄の多い支出や無理なやりくりを見過ごしてしまうかもしれません。
簿記の基本的な仕組みを身に付けていれば、お金の流れの全体像を知ることができます。
簿記の知識を日々の暮らしにいかし、豊かな生活を送ってください。(執筆者:花輪 えみ)