今回は、拡大を続けるクラウド市場について、その市場拡大規模と今後の焦点について解説していきたいと思います。
目次
1. クラウド市場規模

クラウド市場規模は、2018年における企業の売上累計が1,200憶ドルを超え、今後5年間で年平均27.5%、年間売上高は4,000憶ドルと3.3倍にまで拡大すると予測されています。
2. 増加するクラウド導入企業
近年、Youtubeなどの動画サービスが爆発的に普及したことで、全世界におけるデータの通信容量は2021年には2013年比で約6.7倍に増加すると予測されています。
従来、大量のデータを保存するには大容量サーバーが必要であり、そのソフトウェアの更新や管理費用が企業収益を圧迫する要因となっていました。
そこにチャンスを見出したGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)などの巨大IT企業は、自社が保有するサーバーをネットを通じ市場に開放することで、最新のソフト、大容量サーバーを低コストで提供することにしたのです。
これにより、運用管理費がかからず、最低限のコストだけで最新ソフトを使用できることから、導入する企業数は増加基調となっているのです。

3. クラウドでビックデータを収集
GAFAなどの巨大IT企業は、クラウドのレンタル料を狙ってサービスを提供しているわけではありません。
真の狙いは、クラウドを通じてビックデータを収集し、人・物・金の流れを正確に把握することで、新たなビジネスチャンスの初動を捉えることにあります。
そのため、どれだけビックデータを収集・解析できるかが、この情報戦争を勝ち抜くカギとなります。
しかし、あまりにも特定企業にビックデータが偏って収集されてしまっているため、これが独占禁止法に抵触するのではないかと争われているのです。
4. クラウド市場の競争は激化
クラウドサービスはGAFAを中心に市場シェアが拡大しています。
しかし、クラウドサービスに乗り遅れた企業は攻勢をかけており、マイクロソフトは独自のクラウドサービス「アジュール」を提供することで、アマゾンが提供するAWS(アマゾンウェブサービス)をターゲットに市場シェアの拡充を狙っています。
直近の特徴では、マイクロソフトの決算がアマゾンよりも先に公表されることから、マイクロソフトのアジュールが増収となるとアマゾンのAWSが鈍化し株価が下落するというパターンとなっているため、その動向はセットで考えていた方がいいでしょう。
ビックデータ収集に欠かせないクラウドサービス
以上より、クラウドサービスは将来的なビックデータ収集には欠かすことができない重点項目であり、この市場シェアをどれだけ握っているかで将来的な勢力図に影響を及ぼすと言って過言ではありません。
その勢力図を把握する上でもGAFAやマイクロソフトなどの売上高、営業利益、利益率の変化に注目しておいた方がいいでしょう。(執筆者:白鳥 翔一)