前回の記事では、おひとりさまの老後の収入に絞ってご紹介しました。
今回は支出です。
そもそもおひとりさまの老後には、一体いくら必要なのでしょうか。

目次
おひとりさまの老後1,440万円問題
2017年の調査によると、60歳以上の単身無職世帯の毎月の実収入は11万4,027円であるのに対して、総支出額は15万4,742円、4万715円が不足していると報告しています。
個人差があるためすべての方にあてはまるわけではありませんが、月約4万円足りないとすると、65歳から95歳までの30年間では計1,440万不足するという計算になってしまいます。(参考元:総務省統計局(pdf))
節約しにくい必要経費と調節しやすい項目に着目
家計費には、さまざまな項目があります。
暮らしていくためにどうしても不可欠なお金、例えば
・光熱費
・住居費
・通信費
など、これらは頑張って縮小しても0円にすることは難しく、節約しすぎはリスキーでもあります。
一方、
・ 教養娯楽費
などは、生活に必要なものではありますが、余裕のあるときに準備したり金額を増減することができる、自分の裁量次第で調節が可能な費用です。
無理のない暮らしのサイズダウンとは
上記の高齢単身無職世帯から、調整しやすい項目を抜き出すと
教養娯楽:1万6,852円
被服及び履物:
3,808円
家具・家事用品:
6,098円
合計:4万4,286円
です。
これらをずっと0円にすることは難しいと思いますが、例えば、
になります。
また、4項目をトータルで月3万円に抑えれば、1,440万円だった必要経費は1,080万円になります。
生命線となる食費や医療費をむやみに削ると暮らしはギスギスし健康さえも脅かしかねませんが、上記4項目は比較的緊急性は低いと言えるでしょう。
しかもそれらは、上限額や回数を決めておかなければ、使いすぎる危険性が高いものでもあります。
節約するなら
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また昨年来話題のキャッシュレス決済を利用すれば、2月はPayPayの対象飲食店で40%還元のようにお得なキャンペーンが毎月のように開催されています。
さらにぜひ確認していただきたいのが、以前の記事でもご紹介したシニア割です。
現代では、50代からも使えるシニア割がたくさんあります。
要注意の家計品目とは

先の家計調査において、60歳以降でそれまでより支出割合が増えているのが
・ 光熱水道費
・ 家具、家事用品
・ 保健医療費
・ 交際費
です。
なかでも、食費には注意してください。
忙しく働いていた現役時代とは異なり、自炊するなどして縮小しているかと思いきや、わずかとはいえ増えています。
しかもその割合は、支出項目の中でトップ、全体のほぼ1/4を占めているのですから見逃せません。
食事をいかに節約しつつもきちんと食べるかということは、保健医療費の削減にも関わりますから、早めにとりかかりたい要チェック事項です。
新しい節約ツールにもチャレンジ
現代では節約のツールは、家計費の多くの項目にたくさんあります。
しかし年齢を重ねると、使い慣れないものに対して臆病になったり、理解しにくいからと面倒がる傾向が強まります。
おっくうがらずにぜひ、チャレンジしてください。
合わなければ、やめればいいのです。
おひとりさまは、思うままにフットワーク軽く、方向転換もしやすいのです。
1人暮らしを末永く元気に、楽しみましょう。(執筆者:吉田 りょう)