と考える人もいらっしゃるでしょう。
確かに日本の公的医療保険制度はとても優れているため、保険に加入する必要のない人もいると考えられます。
しかし何事も過信は禁物です。
世の中にはデメリットがないものなど存在しません。
高額療養費制度の弱点を理解したうえで、自分にとって本当に保険が必要ないかどうか判断することが大切です。
目次
弱点1:高額療養費制度を使っても損失額は大きい

高額療養費制度を利用すると、「医療費の自己負担額」が個人の状況によって決められた上限額を超過した場合に、超えた部分が払い戻されます。
100万円の医療費がかかっても自己負担は約9万円
例えば、標準的な収入(標準報酬月28~50万円)の人がひと月で100万円の医療費がかかったとすると、
されます。
多数回該当になると、自己負担の上限が4万4,000円まで下がります。
また、加入先の健康保険制度によっては付加給付を実施しており、自己負担の上限が2万5,000円程度まで下がる場合もあります。
医療費自己負担分と逸失収入の平均は約30万円
しかし実際に入院した人のデータによると、医療費自己負担と得られるはずであった収入の喪失額(逸失収入)の合計は平均30.4万円で、100万円以上の人も5.5%存在します。
この金額や割合を高いと見るか低いと見るかは個人の考えによりますが、
ということです。
弱点2:健康保険対象外の費用は高額療養費制度も対象外
医療費の自己負担が高額になるのは、高額療養費の対象外となる費用の存在が要因の1つと考えられます。
健康保険が適用されない次のような費用は、高額療養費の計算においても対象外ですので、全額自己負担です。
・ 食事代
・ 家族のお見舞いにかかる交通費
・ 先進医療:陽子線治療や重粒子線治療など
・ 自由診療:国内未承認の抗がん剤を用いた治療など
差額ベッド代は、厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況(pdf)」によると平均で1日あたり6,188円ですが、病院や部屋の種類によって金額は大きく変わります。
また、先進医療や自由診療を受けると、自己負担額が大きく膨れ上がります。
もし自分が病気になったときに「お金はかかるけれども治る確率が上がる治療がある」と医者から言われたら、お金をかけてでもその治療を受けたいと思うかもしれません。
医療保険やがん保険に加入すると、より自分の望む環境で希望する治療を受けられると考えられます。
弱点3:自己負担上限額はひと月ごと

高額療養費は暦月で計算される仕組みのため、月をまたいで治療を受けた場合、自己負担額は別々に計算されてしまいます。
例えば、標準報酬月額28~50万円の人が、24日間の入院で14.4万円の医療費を自己負担したとしましょう。
のです。
弱点4:2万1,000円未満の自己負担は合算できない
高額療養費制度は、ひと月内に複数の医療機関を受診した場合には合算して限度額や払戻額を計算できますが、2万1,000円未満の自己負担については合算できません。
使える制度を確認したうえで保険加入を判断
どちらも正しい考え方です。
医療保険やがん保険の必要性は、その人の生活背景や資産、考え方などによって大きく変わります。
医療費にあてられるような資金が準備できるまで、保険に加入しておくのも1つの手段です。
大事なことは、医療保険やがん保険が必要かどうかを自分自身で考えたうえで、決めることです。
自分自身がどのような制度を使えるのかを確認したうえで、医療保険やがん保険が必要か判断しましょう。(執筆者:品木 彰)