今回は、コロナウイルスの感染拡大を受けて、急落する株式市場の底値を予測するうえで確認すべき指標について解説していきたいと思います。

目次
「米10年物国債利回り」、「金価格」の推移に注目
現在、米10年物国債利回りは1.3%を下回り過去最低水準まで低下しています。
これは、コロナウイルスの影響による世界経済の減速懸念および、直近まで株価が上昇していたことから債券の売りポジションが膨らんでおり、その巻き戻しによるものと考えられています。
これにより、現在はリスク資産から安定資産へと資金が極端に向かっている状態であり、金利低下に伴い債券価格は上昇を続けているため、短期的な値上がり益を目的とした投資が活発に行われているのです。
しかし、過去の推移からもこれ以上債券を買い進めると金利上昇時に含み損が発生しかねないため、積極的な債券買いはリスクにつながりやすく、
のです。
また、米国債利回りの推移とともに注目しておかなければいけないのが金価格の推移です。
現在の金価格は米国債利回りの低下を受けて一時1,672.65ドルまで上昇しました。
ため、セットでその動向には注目しておいた方がよいでしょう。
WTI原油先物価格の推移に注目
NYダウの下落率は、ハイテク市場であるNASDAQよりも大きく変動しています。
これは、NYダウ構成銘柄にエネルギー関連銘柄が採用されているためであり、その動向に注目が集まっています。
ここで重要なのが、サウジ系の投資ファンドの動向であり、
という点です。
機関投資家は一般的に世界中の証券会社から注文を発注すると言われていますが、先物手口の動向から原油価格上昇に伴う欧州系証券の動向にも注目しておいた方がよいでしょう。
ネットの高速取引に注目
現在、株式市場の日中値幅を拡大している原因の1つとしてネットの高速取引が挙げられ、その動向に注意が必要です。
一般的にこれらの注文は、クレディ・スイスもしくはABNアムロから発注されると言われており、その動向は先物手口からある程度読み取ることができます。
それら投資主体の売りがどれだけ積み上がっているのかを見極めることで、目先の動向をある程度予測できるため、こまめに確認するようにしましょう。
日経平均理論価格に注目

日経平均の底値を予測するのに重要なのがPER(株価収益率)から求められる日経平均理論値であり、次の計算式より求めることができます。
現在、PERは13倍~14倍の範囲内で推移しており、2月28日時点でのEPS = 1,620.15円から求められるPER = 13倍の理論価格は日経平均2万1,061.95円です。
仮にこれを明確に下回った場合、PER = 12~13倍の相場レンジに下がりますので、日経平均の想定レンジは1万9,441.8円~2万1,061.95円が想定されるため注意が必要です。
BPS(1株当たり純資産)に注目
BPSとは、PBR(株価純資産倍率)が1倍の時の日経平均の理論値であり、次の式から求めることができます。
ここで重要なのが、過去日経平均が暴落した時(チャイナショック、ブレクジットなど)の底値水準がこのBPS付近であるという点です。
2月28日時点のBPSは日経平均2万728.39円であり、ここまで株価は調整する可能性がありますので注意が必要です。
テクニカル指標の割安数に注目
一般的に株式市場が急落する局面では、テクニカル指標の制度は大幅に低下するため、それを基準に投資判断をくだしてしまうと想定外の損失となってしまう可能性があります。
そこで重要なのが、
です。
一般的に使われているテクニカル指標
・ RSI
・ ボリンジャーバンド
・ パラボリック
・ 移動平均乖離率
・ サイコロジカル
などです。
これらのテクニカル指標がすべて売られ過ぎの水準を付けた場合には、目先の反転上昇に繋がる可能性が非常に高くなるのです。
このような状態は年に1回あるか否かであり、貴重な判断材料になる可能性があるので注目しておいた方がよいでしょう。
BPSの理論値と日経平均理論値が近い点に注目
コロナウイルスの影響で世界的に人と物の流れが滞っている状態となっているため、今後の企業業績に多大な悪影響を与えかねない状況です。
このような状況下で相場の転換点を見極めるには、数多くある指標の変化に注目する必要があり、どれか1つだけを頼りにしてはその確度を高めることはできません。
特に注目すべきポイントは、前述に挙げたBPSの理論値(2万728.39円)とPER=13倍の時の日経平均理論値(2万1,061.95円)が近いという点であり、過去の経験則から行くと日経平均はその値近辺で反転上昇する可能性がある点です。
しかしながら、コロナウイルスによる影響を受けた経済指標が今後発表されてくることを考え、リスク管理は慎重に行うよう心掛けましょう。(執筆者:白鳥 翔一)