2018年の制度改正により、iDeCoの支払いが柔軟になりました。
これまでは、毎月同じ金額の支払いしかできませんでしたが、新制度では毎月好きな金額を振り込めるようになりました。
支払いの自由度が上がったことはよいことだと思いますが、あなたがどう判断するかによって得られるものが変わってきます。
本記事では、iDeCoの特徴、新制度の概要とメリット・デメリットを紹介します。
目次
iDeCoの特徴

iDeCoが2001年に登場して今年で20年目を迎えます。
すでに始めている方はご存じかと思いますが、改めてその特徴を紹介します。
iDeCoは、厚生年金や国民年金とは別に自分で積み立て運用する年金制度です。
年金なので受け取れるようになるのは原則的には60歳になってからです。
メリット
iDeCoの最大のメリットは節税効果です。
1. 掛け金は全額所得控除
積み立てた掛け金が全額所得控除です。
例えば、年収650万円の方が毎月2万3,000円を積み立てると、1年で8万2,800円も得します。
2. 運用時の利益は非課税
さらに運用時の利益はすべて非課税です。
上手に運用すれば、非課税によって受けられる節税効果が大きくなっていきます。
3. 受取時は1,500万円まで非課税
そして給付金を受け取る場合には、一括で1,500万円までは非課税です。
これらの特徴から、非常に節税効果が高いことが分かります。
デメリットは60歳まで引き出せないこと
一方、最大のデメリットは原則60歳まで引き出せないということです。
将来のためと思って掛け金を高くしすぎると、取り戻せるのは60歳になってからです。
メリット・デメリットを鑑みると、
ことがわかると思います。
制度改正で掛け金の支払いが柔軟に
2018年の制度改正で、支払方法に選択肢ができました。
これまでは、毎月一定の金額で支払う方法しかありませんでしたが、制度改正では、年間の支払額を決めておけば、支払回数を1~12回まで選べるようになりました。
支払い方法の特徴
具体的にみると、以下の2つの特徴があります。
2. 見直しは年1回まで
この2点を考えると、気まぐれに支払いを変えられるわけではなく、ボーナス払いしやすい制度になったと考えた方がよさそうです。
改正後のメリットとデメリット

続いて改正後のメリットとデメリットを簡単にまとめます。
メリット
メリットには、次の3点が挙げられます。
1. 手数料の節約
イデコの支払いには毎回、国民年金連合会に105円の手数料がかかっていました。
新制度で支払回数自体を減らせば、この手数料を節約できます。
年1回の支払いにすると、手数料は年間で1,155円節約できます。
2. 年末調整に間に合う
年単位拠出を選ぶと、年間の支払額を事前に決めたことになるので、年末調整で所得控除を得られます。
年末調整で還付金が発生するのはうれしいところでしょう。
3. 支払いタイミングを調整できる
支払いタイミングを調整できるのは、今回の制度改正の主な目的ともいえます。
ボーナスでまとめて支払う人が積立額を増額する可能性が高くなります。
ただし、年間の支払い可能額は増えていませんので、控除額を多くできるわけではありません。
デメリット
一方で、次のようなデメリットもあります。
1. ドルコスト平均法が効きにくくなる
勉強しながら資産ポートフォリオを組んでいる方、株式などハイリスク商品で積み立てをしている方にとって、ドルコスト平均法の恩恵は重要です。
しかし、積立額の多い月に資産が高騰していると、購入口数が減ってしまいます。
ドルコスト平均法が長期運用に与える影響を考えると、無視できない点であるといえます。
2. 拠出金額の管理が難しくなる
年間計画を提出すため、後から支払金額を変えることはできません。
iDeCoの支払いが多い月に手元のお金が少ないと、生活に影響を与えることもあるでしょう。
拠出金額の管理は、新制度で生じた新たな手間であることは覚えておきましょう。
制度改正の恩恵を受けやすい運用方法
以上の特徴を踏まえると、iDeCoの運用の仕方も難しくなり、悩みが増えることでしょう。
ここでは、年間支払のメリットを享受できる運用方法を1つ紹介します。
です。
運用利回りは政策金利などで変わりますが、元本は保証されています。
年1回の支払いを選択すれば、これまで年12回の支払いで払っていた手数料1,155円を運用に回せます。
ほかにも、運用方針に沿った形で支払えば、柔軟な支払方法の恩恵を享受できる利用方法があるはずです。
本記事で紹介した特徴を押さえて、あなたの運用スタイルを確立してください。(執筆者:卜部 友二)