キッチンのリフォームには、
・ 部分的に入れ替える「部分リフォーム」
があります。
部分リフォームは、こわれた設備の修理だけでなく、使い勝手や見た目の向上も可能です。
3年間で分譲マンション65戸をリフォームした筆者が、施工・監督の経験を元に、キッチンの全部リフォームと部分リフォームの判断基準をお伝えします。

目次
1番の判断基準は予算
予算がそれ以下であれば、部分リフォームで行います。
交換したい設備の数も判断基準となる
住宅機器設備を3か所以上交換するのであれば、全部リフォームを検討しましょう。
以下、80平方メートル程度の分譲マンションで、一般的なI型2550キッチンを想定して説明します。
部分リフォームのメリット
筆者は、キッチン本体に破損等がなければ、部分リフォームを推奨しています。
リフォーム予算が60万以下の場合は、基本的に部分リフォームとなります。
新築時に良いグレードのシステムキッチンを設置した場合は、住設等以外は長期に使う方が経済的です。
デザインにはやり廃りはありますか、ワークトップ(天板)やキャビネット(収納)扉の品質は、ひと目でわかります。
また耐久性も高いです。
ただし、水栓の水漏れなどを放置していた場合は劣化が激しいため、全部リフォームを推奨します。
全部リフォームは「実用部分」以外の費用が4割を占める
筆者は2019年に6台の全部リフォームを施工し、11台の部分リフォームの施工を行いました。
全部リフォームの費用の1例を提示します。
下の表を参照してください。

全費用75万円のうち、キッチン本体とその本体設置費の合計は45万円で、それ以外は30万です。
使い勝手や見た目などの「効能」外の所に4割もの費用がかかります。
費用対効果から考えると、全部リフォームは高くなります。
部分リフォームの事例と費用
代表的な部分リフォーム事例と、費用実例をお知らせします。
下記は筆者が体験した実例です。
経験豊富な現場監督に相談すれば、下記以外の実例も多々あると思います。
(1) 水栓
ワンホールタイプ、壁だしタイプ等のタイプが同じで、国内メーカーの水栓であれば、ほぼすべての水栓と交換可能です。
交換工賃は1万程度です。

(2) ワークトップ・シンク
人工大理石、ステンレス製のワークトップ・シンクは、経年劣化による黄ばみや傷が生じます。
ワークトップ自体交換もできるのですが、高額な費用が掛かります。
部分リフォームでは、研磨や薬剤によるあく抜きをおすすめします。
費用は2万円からです。
(3) コンロ
基本的に規格が統一されているため、交換は容易です。
筆者が現場監督時の交換費用は、IHコンロで15万、ガスコンロで10万程度でした。
(4) キャビネット扉の取手・ツマミ
キャビネット扉の取手やツマミを交換すると、驚くほど見栄えが良くなります。
費用対効果が高いです。
取手は3,000円程度、ツマミは1,000円程度で高級品が購入できます。
施工方法はビスで固定するだけなので、DIYで対応しましょう。
(5) キャビネット扉
キャビネット扉は、
・ 硬質塩ビタックシート(ダイノックシート)
による上貼施工を行います。
1平方メートルあたり1万円程度です。
またキャビネット扉を新たに作ることもできます。
木工所で作るタイプなら、1枚あたり1万2,000円程度です。
(6) 換気扇
レンジフードタイプであれば、ほとんど交換は可能です。
深型シロッコファンで7万円程度です。
(7) キッチンパネル
キッチンパネルはもともと汚れにくい物ですが、ダイノックシートにより、部分リフォームが可能です。
1平方メートル当たり1万円程度です。
(8) オーブンレンジ・食洗器
規格があるので、修理・交換可能です。
オーブンレンジや食洗器を外してキャビネットにすることも可能です。
費用は3万円からです。
反対にキャビネットを外してオーブンレンジ・食洗器を入れることは、配管の関係で難しいです。
全部リフォームならば施工の可能性はあります。
部分リフォームで費用節約
システムキッチンは用途の違う部品の集合体です。
かなりの部分は交換可能になっています。
ほとんどの場合、部分リフォームで対応可能です。
経済的には、10年スパンで考え3回転目(30年)が全部リフォームの時期かと思います。
キッチン本体の痛みや、配管の状況を見ながら判断しましょう。(執筆者:金 弘碩)