在宅介護では、介護保険の上限を超えた分は10割負担です。
かなり高額になるため、制限の枠内でサービスを調整するのがケアマネの腕の見せ所といえます。
しかし、在宅介護も何が起こるかわからないこともあります。
急な事情で、介護保険サービスを追加せざるを得ない状況が起こるかもしれません。
家族の急な入院や出張によりサービスを追加せざるを得ず、介護保険の上限を超えて「10割負担」が発生することもあります。
もし上限を超えてしまったら、介護保険の10割負担を払う前に、「老人ホームの有料ショートステイ」を考えてみてください。
目次
老人ホームの「有料ショートステイ」とは

通常のショートステイは、介護保険を利用したお泊りサービスです。
対して有料ショートステイは、老人ホームが行っている介護保険を使わないお泊りサービスです。
送迎の有無や部屋のサイズといった違いはありますが、基本的に食事と介護がついています。
ショートステイの料金差
通常のショートステイと、有料ショートステイの料金差を見てみましょう。
要介護1の方が首都圏の施設で1泊2日した場合、料金の目安は、
・ 有料老人ホーム:9,000円~
・ 有料ショートステイ:1万5,000円程度
です。
料金だけを見れば特養が最も安くなります。
有料老人ホームは、部屋のグレードや食事代が違うため割高です。
有料ショートステイは介護保険を使わない分だけ、さらに高くなってしまいます。
有料ショートステイのメリット

通常のショートステイと比べると、有料ショートステイは高くなります。
一見するとメリットを感じませんが、実は「介護保険を使わない」という点に大きなメリットがあります。
有料ショートステイが安上りになる状況
・ 家族が入院などで不在になるため、急にお泊りサービスが必要になった
このような状況はあまり多くはありませんが、家庭環境によっては十分起きる可能性はあります。
老人ホームで連泊した場合の料金を比較してみましょう。
要介護2の人が老人ホームで2泊3日した場合の目安は、以下の通りです。
基本料金7,000円 × 2日分 + 介護保険10割負担で8,000円 × 3日分 = 3万8,000円
【有料ショートステイ】
1万5,000円 × 2日分 = 3万円
通常であれば要介護2のショートステイは1日800円程度です。
しかし10割負担になると1日8,000円です。
介護保険の10割負担をそのまま支払うなら、有料ショートステイの方が安くなることがあります。
要介護3以上になると、さらに料金の節約効果は高まります。
サービスの相談はケアマネさんへ
介護保険サービスの相談は、担当のケアマネさんに相談するのが1番です。
しかしケアマネさんも、全ての地域サービスを知っているわけではありません。
筆者の経験ですが、有料老人ホームのショートステイや、有料ショートステイは認知度が低く、ケアマネや地域包括でも知らないことがあります。
困った時はケアマネさんを通して、各老人ホームへ聞いてもらうのも良いでしょう。(執筆者:小原 しろう)