離婚後の子供への養育費に関する差押え方法について前回説明しました。
しかし、たとえ公正証書などの債務名義を持っていたとしても、実は差押えは最終手段として取っておいて頂きたいのです。
穏便に支払ってもらえるならそれに越したことはありません。
検討した方が良い行動と、NG行動について説明していきます。

目次
行動1:まずは連絡を
「ある時から突然支払いがなくなった。」
さまざまなパターンがあると思いますが、支払う側(ここでは夫が支払うものとします)に事情や環境の変化があった可能性が考えられます。
再婚もそうですが、再婚相手との子供が生まれた場合など、前妻との子への愛情が半減してしまい、養育費支払に対する責任感もなくなってしまうという話を聞いたことがあります。
一方で、失業や会社の倒産、思わぬケガや大病、親の介護などの理由で払いたくとも払えない場合がありつつ、つい元妻への連絡を怠っている、連絡しづらいという場合があります。
もし相手の連絡先が分かるのであれば、まずは問い合わせてみましょう。
前者は許されない話なので当然支払いの再開を要求すれば良いのですが、後者の場合は支払える額について協議してみた方が良いでしょう。
行動2:内容証明を出すのも有効
夫に会いたくない、遠方で会いに行くのが大変、という時には内容証明で請求する方法があります。
公正証書なとがない時にはいざという時の証拠になり、普通郵便に比べて、かなり相手に心理的効果を与えられます。
特に、相手が単に支払いを怠っているような場合に有効な手段となりそうです。
単に口座への支払いが再開されれば良く、自分の住所を知られたくない場合には、行政書士などに依頼すれば代理人として作成してもらえます。
逆に、裁判を見据えているのであれば最初から弁護士に依頼する方法も考えられます。
以上のような方法で、意外と穏便に解決できることがあります。
NG行動:会社や自宅に押し掛ける

確かに支払わない夫が悪いのですが、だからといって相手にプレッシャーを与えるために勤務先に何度も押し掛けることは避けましょう。
毎日勤務時間に押し掛けて何時間も仕事の邪魔をすると「威力業務妨害」、それに「支払うまで毎日来る」などと言えば「脅迫罪」、会社のほかの人に聞こえるように養育費の未払いについて大声で責め立てると「名誉棄損(内容が真実であっても成立します)」など、犯罪行為に発展してしまう可能性があるからです。
夫の自宅に行く場合も、玄関先で大声で吹聴すれば会社同様名誉棄損となり、だからと言って家の中に入り込んで出て行けと言われても拒んでいると、今度は不退去罪に該当します。
もともと相手のせいなのに自分が犯罪者扱いされるほど理不尽なことはありません。
ここはぐっと堪えましょう。
もちろん、夫の連絡先が勤務先しか分からないためコンタクトを取りに一度会社へ行ったり、夫から会社で話し合うよう提案されたりした場合は問題ありません。
冷静に、自分をしっかり持って検討してください。(執筆者:橋本 玲子)