自分の死後、法定相続人以外に財産を譲りたい場合、「遺贈」または「死因贈与」という方法をとれます。
ここでは「死因贈与」について説明します。

【関連記事】遺言書を書く時に「相続させる」と「遺贈する」を使い分けていますか?
目次
死因贈与とは
死因贈与とは、例えば
というような取り決めをあらかじめ受贈者(財産を贈与される人)との間でしておく契約のひとつです。
遺贈同様、相手が相続人でなくとも、法人であっても財産を譲れます。
死因贈与に関する法律の規定は
の一文のみです。
一見、遺贈と死因贈与はほぼ同じなのかと思ってしまいそうですが、効力はともかく、方式は相違点が多いのできちんと理解しておきましょう。
死因贈与は受贈側の承諾が必要な「契約」
死因贈与と遺贈の大きな違いはその性質です。
遺贈は
死因贈与は「契約」なので、
これを正式には「不確定期限付贈与契約」といいます。
契約なので贈与者・受贈者共に20歳以上であることが要件(民法第4条)です。
※遺贈は遺言者が15歳以上であれば有効に成立します。
また、契約は当事者同士の合意のみで成立するので、遺言にしなければならない遺贈と違い、
もっとも、
トラブルを避けるためにきちんと契約書を作り、双方で保管しておくべきなのは当然です。

メリット
死因贈与のメリットは、
です。
もちろん遺贈であっても遺言書作成前に受遺予定者に意思を確認はできますが、死後に遺贈放棄をされる可能性があります。
その点死因贈与契約を書面で交わしておけば、贈与者死後に契約を撤回することは、原則としてできません。
また、死因贈与であれば、受贈されるのが不動産の場合、受贈者はあらかじめ
ことで、自分の権利を強固にすることができます。
デメリット
デメリットとしては、遺言のように方式がしっかり規定されていないため、不正作成を疑われる恐れがあることです。
もちろん公正証書で作成すればほぼクリアできるとも言えますが、どうせ公正証書にするなら、まとめて遺言にした方が手間はかかりません。
結局は、あまり知られていない制度というのがデメリットなのかもしれません。
死因贈与でも「遺留分」規定は適用
最後に、
トラブルにならないよう受贈者と話し合って贈与財産の内容を決めるようにしましょう。(執筆者:橋本 玲子)