保険は人生の節目にすすめられることが多いのですが、その1つに高校卒業があります。
来春、高校卒業予定のお子さんを持つ親御さんには、他社に先を越されまいと、もう保険外交員のアプローチが始まっているのではないでしょうか。
「うちの子は幼い頃から保険に入っているので大丈夫」と安心している親御さんにも、
「車の運転をするようになるから、もっとしっかりした保険に」
などとアプローチしてきます。
しかし、お子さんが大学に進学するのであれば、少しお待ちください。
大学生には、大学生活協同組合(以下、大学生協)の生命共済があります。
掛金が安いうえに学生のことを思った保障内容になっていますので、そちらを紹介します。
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目次
大学生協「生命共済」の保障内容
大学生協の生命共済に加入できるのは、大学生協の組合員のみです。
生協のない大学もありますが、その場合には大学の所在地または住んでいる都府県にある「インターカレッジコープ」の組合員になれれば、生命共済に加入できます。
保障内容は次の図の通りです。
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掛金は年間1万4,400円で年払い、割戻金や解約返戻金はありません。
共済期間は4月1日~翌年3月31日までですが、期間の途中でも加入でき、その場合の掛金は加入している月の分だけです。
大学生協「生命共済」のメリット
メリットには以下の3つの点が挙げられます。
1. 掛金が安いのに保障内容が豊富
掛金は安いのに、保障が大変充実しています。
ケガの保障は入院・通院に加え、骨折や腱の断裂、脱臼などで固定具を装着すると一時金が出る「特定障害固定具保障」もありますし、年間1万円ですが精神疾患の保障もあります。
被共済者自身の保障以外に、扶養者が死亡したり重度後遺障がい状態になった場合の保障もあります。
2. ストーカー被害見舞金制度がある
ストーカー被害を警察に届け出て、費用をかけて被害拡大の防止を図った場合、一律5万円の見舞金を受取れます。
防止策は、引っ越し、鍵の交換、防犯カメラの設置、スマホの契約変更などさまざまです。
生命共済加入者全員が対象です。
3. 健康状態の審査が緩い
持病や治って間もない病気があっても、それらのない人と同じ掛金で加入できます。
仮に加入後にそれらの病気で入院・手術が必要になった場合には、加入後1年は保障されないケースもありますが、2年目以降は保障されます。
大学生協「生命共済」のデメリット
デメリットには、以下の4点が挙げられます。
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1. 自由に組み合わせられない
保障内容は決まっていて、自由に組み合わせることができません。
「これはなくてもいいけどな」と思う保障があっても、それも込みの1万4,400円です。
2. 大病にかかった場合のまとまった一時金がない
民間の保険で大変ニーズの多いものに、3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)などの大病にかかった場合にまとまった一時金を受取れるものがあります。
特にがんの場合には治療の有無に関係なく診断確定で受け取れる保険がありますが、この共済にはそのような保障はありません。
3. 掛金は年払い
掛金は年払いです。
年間の金額と考えれば安いのですが、1万5,000円近い出費は忘れているとちょっとしたダメージです。
また、次年度分の口座振替が3月末なので、年度末に集中して発生する出費がまた1つ増えます。
4. 大学生協の組合員しか加入できない
留年や大学院への進学でも加入することができますが、卒業や退学で組合員でなくなれば、被共済者ではなくなります。
この場合に最も懸念されるのは、共済に加入していた期間に大きな病気にかかったり障害が残ったりすることです。
最近では緩和型の保険も多くなりましたが、保険料が高くなりますし、選べる保障にも限界があります。
病気の種類や障害の程度によっては、どのような保険にも加入できなくなるリスクがあります。
学業継続を支援する保障
生命共済は、学生が学ぶことを応援する共済なのだと感じます。
どうしても大きな病気への備えが必要だと考えるかたは、この共済に加入したうえで、大病への保障だけを民間保険で補うのがよいと思います。(執筆者:金澤 けい子)