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予想は必要だが予測は不要
以前、サヤ取りに必要な変動感覚について執筆した記事では、
と解説しました。
一方、サヤ取りのコツの1つを解説した別の記事では、タイトルの通りサヤを予測しないことがコツであると解説しました。
ひとつの記事では「予想が必要」と書き、もうひとつの記事では「予測が不要」と書いていますが、これらの記載は矛盾ではありません。
サヤ取りにおいてはサヤの予想が必要であり、予測は不要です。
しかし、混乱しやすい部分でもあるため、本稿でこの微妙な違いを解説していきます。

予想と予測の違い
「予想」と「予測」の大きな違いは、予想が主観的な判断であるのに対し、予測が客観的な判断であることです。
サヤ取りを始める際には、ペアとなる2つの銘柄の過去の値動きやサヤの動きを場帖とグラフによって確認することが欠かせません。
これは、過去のデータからペア銘柄のサヤの傾向を把握し、変動感覚を養うためです。
こうして身に着けた変動感覚は主観的な判断基準であり、変動感覚による判断は予想であるといえます。
この予想ができなければ、サヤ取りは不可能です。
例えば、サヤの縮小で利益を取るならば、「過去の傾向から、現在のサヤは十分拡大した状態であり、今後縮小すると予想できる」という主観的な判断によって、サヤ取りを仕掛ける必要があります。
一方、予測は不要であり、また不可能です。
もし、過去のデータから客観的に判断できるものであれば、変動感覚という主観的な判断基準は不要であり、過去のデータによって百発百中の売買も可能となります。
実際には、値動きとサヤはいつも決まった動きをするわけではなく、過去の傾向とは大きく異なる動きを見せることもあり、予測できるものではありません。
むしろ予測しようとすれば、思わぬ失敗を招きます。
予想が必要であり、予測は不要
サヤを予測できたと思っていても、予測不能である以上、その予測が間違っている可能性も高いです。
間違った判断をした場合には、経験や感覚などといった主観的な判断によって処置する必要があるため、予測に頼っていれば処置もうまくいかなくなる恐れがあります。
以上のような違いが分かれば、「サヤ取りには予想が必要であり、予測は不要である」という解説も理解できることと思います。(執筆者:兼山 艮)