生命保険加入を考えるきっかけの1つに、結婚や妊娠が挙げられます。
本人はもちろん、お嬢さんやお嫁さんの妊娠がわかったときに、
と心配になる人も多いようです。
今回は、妊娠中でも入れる保険について紹介します。
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目次
「妊娠中でも加入可」でも「その妊娠が保障される」とは限らない
妊娠中でも加入できるという保険は珍しくはありません。
国内保険会社で扱う総合的な生命保険でも、妊娠週数(月数)によっては妊娠中に新規契約できる保険もあります。
ただし契約はできても、残念ながら
との条件がついてしまう保険もあるでしょう。
妊娠がわかってから医療保険を探す場合は、「妊娠中でも入れること」だけでなく、「今回の妊娠についての入院や手術が保障されること」の確認も必要です。
なぜ、妊娠中は保険加入が制限されるのか
妊娠は、病気ではありません。
しかしながら、妊娠中はさまざまな体調変化が起こります。
胎児の発育によって、入院や手術・処置などが必要になる可能性もあります。
持病や感染症から合併症を起こす可能性も高く、また妊娠悪阻や妊娠貧血、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病など妊娠中特有の病気もあります。
もしも、妊娠と因果関係のない病気やケガでも、妊娠していることで治療方法が制限される場合があるなど、「妊娠していないとき」に比べるといろいろなリスクがあります。
と思われるでしょうが、保険会社としては
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保険会社の対応は大きく分けて3パターン
リスクレベルをそろえるために、それぞれの保険会社の対応はおおむね次の3パターンです。
パターンB「妊娠中の新規契約はできません。無事に出産を終えた後に、改めて」
パターンC「妊娠特化型の保険を作りましょう」
国内生命保険会社で扱う「いわゆる生命保険の医療保障」では、パターンAやBの対応がほとんどです。
ただし、妊娠週数によっては、特別条件無しで加入できる場合もあります。
妊娠週数について「いつまでOK」とするかは、それぞれの保険会社によってまちまちです。
検討中は、いくつかの保険会社を見比べてみるといいでしょう。
パターンC「妊娠特化型の保険」について
・ 正常分娩も保障
などとうたう「妊娠のための医療保険」が増えてきました。
現時点(2020年5月)では、生命保険会社ではなく、「共済」や「少額短期保険会社」が扱っているものが多いようです。
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生命保険会社の保険と、共済・少額短期保険会社の保険の違い
契約者にとって、いちばん大きな違いは「保障の大きさ」でしょうか。
特に、少額短期保険の場合は、扱える保険金・給付金の上限が低く、一生涯の保障や大きな病気に備える保険には向いていません。
妊娠から出産までの期間限定と考える方がよさそうですが、その前に、保障を見比べてみましょう。
妊娠中でも加入できる保険
「妊娠中でも加入できます」と明記されている保険をいくつかピックアップしてみました。
妊娠に関係あるものだけ抜き出し、ケガの保障や死亡保障などについては省きました。
【保険a】共済
妊娠中の加入:妊娠10か月まで加入OK※
保障内容:入院日額保障(年間30日限度)/ 手術保障無し
正常分娩保障:正常分娩も保障対象
※加入時に妊娠していた場合、その出産の正常分娩入院は保障対象外。
異常分娩入院は保障。
※保障額削減あり。
加入後、半年未満は20%、半年~1年未満は50%
【保険b】少額短期保険
妊娠中の加入:妊娠中の加入OK※
保障内容:入院日額保障(年間30日限度)/ 手術保障あり(入院中の所定の手術)
正常分娩保障:保障対象外
※申込時に妊娠25週目以降だった場合は、その妊娠は保障対象外。
【保険c】少額短期保険
妊娠中の加入:妊娠中の加入OK
保障内容:入院日額保障(年間60日限度)/ 手術保障あり(入院中の所定の手術)
正常分娩保障:保障対象外
※妊娠の有無に関わらず、免責期間あり。
(加入後60日経過後から保障開始)
妊娠特化型の保険でも、意外と条件が厳しい
「妊娠中OK」としている保険でも、
・ 妊娠の有無に関わらず保障削減があり、結局保障が小さい
など、保障に不安があるものが多いようです。
また、その他の保険と同様に、既に異常妊娠・出産の可能性を指摘されている場合や、その他の健康状態に異常があるときは加入できませんのでご注意ください。
大手共済の女性向け医療共済
生命共済は、掛金の仕組みや保障の低さから、本来はあまりおすすめができません。
【参考記事】【生命共済】「全年齢同じ掛金」の落とし穴 年齢に応じたリスクと保障内容を加味して、割安か判断
前述したとおり、生命保険会社の医療保険でも、妊娠週数によっては加入できる場合があります。
まずは、そちらを検討してみてください。
しかしながら、「既に妊娠週数が進んでいる」、「全く医療保障を持っていない」場合に限っては、大手共済の「妊娠していても入れる」生命共済を検討してみるのもいいでしょう。
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ただし、「加入後1年間の削減期間」により、保障額の満額は受け取れない点にご注意ください。
妊娠する前に加入しておくのがおすすめ
妊娠期間中、特に異常も無く健康に過ごし、正常分娩で出産し、産後も母子ともに健康でいられることが最も喜ばしいことです。
その場合は、医療保険も出番がないでしょう。
しかしながら、自分の体の中にもうひとりの命が宿る大きな変化の中では、どんなに気をつけていても防げない場合があります。
また、産後の体調によっては、しばらくの間生命保険の加入が制限されてしまう場合も考えられます。
少しでも不安を軽減するために、何もないときこそ、医療保険について考えておくといいと思います。(執筆者:仲村 希)