気温が上がり、エアコンが活躍する時期に差し掛かってきました。
家電量販店などに行き、部屋の大きさに合わせて「〇畳用エアコン」を新たに購入される方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はその選び方、必ずしも正しいとは限りません。
今回は「エアコン選び≠畳数」の根拠について解説します。

目次
「〇畳用エアコン」は無断熱の家が基準
一般的なエアコンの選び方として、例えば設置したい部屋の大きさが14畳なら、当たり前のように「14畳用エアコン」を選択する方が多いと思います。
しかし、実際には
・ 戸建てなのか集合住宅なのか
・ 西日が強い部屋なのか
・ 北側の寒い位置にある部屋なのか
・ 窓の大きさはどうなのか
などの状況によって求められるエアコンの能力は異なります。
基本的に「〇畳用」の基準は、エアコン本体に記載されている「能力」、「消費電力」の値によって決まります。
しかし、畳数表示は数十年前に制定されているのに1度も変わっておらず、当時の家、つまり性能の低い無断熱住宅が基準となっているのです。
エアコンの燃費は年々向上していますが、冷房能力、暖房能力は昔とさほど変わっていません。
一方、建物は国が省エネルギー住宅を推進していることもあり、現在建築されている家の断熱・気密性能は昔の家と比較にならないほど高まっています。
しかし、エアコンと建物の能力と畳数表示は昔から見直さていないのが現状です。

高性能な家なら1サイズ以上下げてもOK
つまり、現在建てられている性能の高い住宅であれば、
例えば、20畳のリビングにエアコンを付けたい場合、よほど大きな吹き抜けなどがなければ「20畳用」ではなく、
「18畳用」、「14畳用」でも問題ありません。
価格の1例として、DAIKINの「うるさらX」で比較した場合、20畳用だとメーカー希望小売価格は63万円(税抜き)です。
それに対し、18畳用だと55万円(税抜き)、14畳用だと50万円(税抜き)になるので、初期費用が押さえられるメリットもあります。

ただし、築30年以上の家に住んでいる方がエアコンを取り換える場合は、畳数に合わせて選ぶ方が間違いないかと思います。
なぜ店員は教えてくれないのか
家電量販店の店員は販売のプロであり、商品知識は豊富だと思います。
しかし、住宅の関連性を考え、気密性・断熱性などの知識を兼ね備え、最適な提案をする方はなかなかいないでしょう。
そして、今回のことを仮に知っていたとしても、メーカーや量販店は、積極的にこのことを説明することはないと思います。
また、提案して冷暖房の効果が得られない場合は、リスクにもなります。
そのため、逆に
とアドバイスされた方も多いのではないでしょうか。
今後、エアコンを選ぶときは初期費用をかけすぎないように、このあたりも考慮しながら検討されてはいかがでしょうか。(執筆者:1級FP技能士 宅地建物取引士 椎名 隼人)
本記事を4コマ漫画にしてみました。こちらもお楽しみください。
