納骨とは、お骨をお墓におさめることです。
葬儀に比べれば低いですが、納骨にもそれなりの費用がかかります。
納骨にかかる費用は大まかに分けると、
・ 納骨式を取り仕切る僧侶などに支払うお金
・ お骨を納める墓石の業者に支払うお金
の2つです。
しかし、実際に納骨を行ってみると一般的に「納骨費用」といわれるお金以外の「かくれ出費」がとても多いということに気が付きます。
今回は、納骨を行った筆者が「これは納骨の費用に含まれない隠れ出費だ」と感じたお金についてお話しします。
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目次
遠くの墓に親族まとめて移動「マイクロバス代」:約5万円
納骨には親族が出席します。
お墓がアクセスの便利な場所にあればよいですが、多くの場合には地方や車でないと行きづらい場所にあります。
筆者の場合にも都心から電車で2時間程度、さらにバスを乗り継いで行かねばならない場所に納骨する必要がありました。
若い人たちであれば電車や自家用車で現地集合現地解散が可能です。
しかし、葬儀に関する儀式には高齢者が多い傾向があります。
杖をつきながらやっと歩ける親族も多く「現地集合でよろしく」とは言いづらいです。
そこで考えた移動手段が「タクシーの貸し切り」でした。
しかし、一般的なタクシーは乗車できる人数が運転手をのぞいておおむね4人です。
送迎が必要な親族が10人以上いたため、タクシーは3台以上必要でした。
ただでさえ移動距離が長いのに台数が増えてしまうと大きすぎる出費です。
そこで「マイクロバス」を検討してみることにしました。
マイクロバスは、標準で23人程度が乗れる小型のバスです。
観光バスのようにトイレやトランクがないため、トイレ休憩や荷物を置くスペースについて考慮する必要があります。
移動距離や時間によっても変わりますが、マイクロバスの費用は、出発地から100km圏内の6時間利用で約5万円(高速代や駐車代は別途)です。
たとえば、タクシーで群馬の高崎まで行くとします。
東京から高崎までは約113kmで料金は1台あたり約4万円です。
3台であれば12万円になり、マイクロバスと比べると倍以上の出費です。
つまりマイクロバスは、タクシーよりお得です。
しかし、納骨に来る親族に「ひとり5,000円ずついただきます」とは言えません。
マイクロバス代は呼ぶ側の「かくれ出費」として黙って支払われることが多い費用だと言えます。
会食だけじゃなかった「おみやげ代」:5,000円 × 人数分
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一般的に納骨する当日は、お墓にお骨を納めた後に会食をします。
1人あたり5,000円~1万円程度の料理を用意します。
呼ぶ側としては「5,000円程度の食事を用意したのだから、お礼はそれで十分かな」と思うかもしれません。
しかし、納骨に来てくれた人には「おみやげ」(正式には引き出物といいます)を渡します。
おみやげはお茶や海苔、お菓子が一般的で相場は3,000円~5,000円です。
夫婦で来た人には夫婦で1つ、親子で来てもそれぞれから香典をもらった場合にはそれぞれにおみやげを渡します。
用意すべきおみやげの数は意外と多いです。
会食の費用は「納骨の費用」に含まれていることが多いですが、おみやげ代は含まれず「かくれ出費」になることがあります。
おみやげは持って帰ってもらうことになるため、かさばらず重たくないものを選びましょう。
平服って難しい「洋服代」
納骨が四十九日までに行われる場合には喪服を着ます。
しかし、四十九日が過ぎていたり「平服で」と書かれていたりする際には、喪服ではなく黒やグレーの服で行きましょう。
葬儀の時には室内で座っている時間が長いので女性は丈の長いスカートが便利です。
一方、納骨は屋外のお墓の前で立っている時間が長くなります。
場所によっては長い階段を上るかもしれません。
「黒やグレーで動きやすい服装」というのは意外と難しいのではないでしょうか。
手持ちの服で黒やグレーのものがあればよいですが、持っていない場合には買わなければなりません。
黒のパンツや白いブラウスは1枚は持っていてもよいものではあります。
しかし、黒のパンツや白いブラウスは「セール対象外」になっていることが多く、思わぬ出費になるかもしれません。
納骨に来るのは親しい親族がほとんどのため、つい「家にある地味な服でいいや」と思ってしまいます。
しかし、納骨式には正装の僧侶がやってきます。
僧侶に対して失礼にならないように「平服といえども失礼のない服装」がマナーです。
納骨の「かくれ出費」は必要経費
納骨は葬儀に比べると来る人数も少なく、緊張度の低いものかもしれません。
葬儀で大きな出費をしたあとで、できれば出費は抑えたいとも思います。
しかし、納骨では葬儀以上に親族同士で話せる時間が豊富にあります。
納骨費用は金額が決められていることが多く節約は難しいですが、「かくれ出費」は節約しようと思えば節約できるお金です。
しかし「かくれ出費」の使い方によっては納骨の思い出が良くも悪くもなります。
遠方から来てくれる人たちに大変な思いをさせないため、おいしいお菓子を食べながら故人をしのんでもらうため、失礼のない納骨をするために「かくれ出費」は準備しておくべき必要経費なのかもしれません。(執筆者:式部 順子)