今回は、投資信託を買い付けする際に「口数指定」と「金額指定」のどちらがよいのかを考察します。
それぞれのメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。

目次
投資信託とは
です。
そのため、個別銘柄の分析・選別の知識がない投資初心者や、時間的余裕がない方にとっては有益な商品だと言えます。
投資信託は、主に
・株型
・REIT(不動産投資信託)
・債券型
から構成されており、リスクは
の順番で右にいくほど低くなります。
特定の個別銘柄に投資する株式投資とは異なり、ファンドマネージャーが選別した複数の銘柄に投資できます。
従って、現物株式に投資するよりもリターンは少なくなりますが、その分、資産を分散できるのでリスクを抑えられます。
少額から投資できる
投資信託は、株式と違い金額指定で買い付けられ、少額からの購入が可能であるため、これから資産形成を行う方や若年層の方にとっては手が出しやすい商品性であると言えます。
NISA口座で買い付けるメリット
また、NISA口座との相性がよいと言えます。
株式の場合には120万円の非課税枠を全て使い切ることはできませんが、投資信託であれば全ての枠を奇麗に使い切ることができるのです。
NISA口座で買い付けるデメリット
しかし、NISA口座で「毎月分配型投資信託」を買い付ける場合には注意しなければならない点があります。
であるため、「元本払戻金が続いているので再投資へ切り替える」という手法を選択できなくなるのです。
また、
ことになります。
従って、非課税のメリットを一部受けられなくなるという点もコース選択の際には覚えておきましょう。
投資信託を口数指定で買える
口数指定で買うことのメリット・デメリットを紹介します。
口数指定で買うメリット
また、投資信託は金額指定だけではなく口数指定で買うことも可能です。
この場合のメリットは、口数をそろえて買付できるため、現在の評価金額を求めることが容易であることです。
分配金が1万口単位で分配されるため、その変化を計算しやすいのです。
ネットで保有資産の損益状況を確認するのではなく、紙面などでその単価を確認している方にとっては簡単に状況を確認できるのでメリットとなり得ます。

口数指定で買うデメリット
しかし、口数指定で買付する際にはいくつかのデメリットもあります。
デメリット1. 投資金額が想定外に増えてしまう可能性
まず、口数指定で投資信託を買い付けてしまうと、予想外の値段で約定してしまう可能性があるという点です。
式とは違い、投資信託の約定は株数日後に付きます。
たとえば、米国株型の投資信託の場合、買い付けた日の夜間の株の値動きが反映され、その翌日の為替レートを換算して基準価格が算出されるので、買値は3営業日目に判明します。
そのため、仮に夜間に相場が大きく変動し大幅に上昇に転じてしまうと基準価格もそれに比例して上昇するので、予想外の基準価格で約定してしまい、当初予定していた金額を大幅に上回ってしまう可能性があるのです。
たとえば、買付注文を発注した際の基準価格が1万円、買付口数が1万口だった場合、当初必要となる金額は1,000万円です。
= 1万円 × 1,000万口
= 1,000万円
しかし、発注後に相場が急上昇し、ベンチマークとなる指数が5%上昇してしまった場合には、基準価格が1万500円(必ずしも5%上昇するとは限らない)となり、必要金額が1,050万円となってしまう可能性があるのです。
= 1,050万円
そのため、口数指定での買付を検討する場合には、その後の相場変動をある程度予測しながら余裕をもって買い付ける必要があるのです。
デメリット2. 手数料の割引を受けられない可能性
昔と違って最近の投資信託では、買い付け手数料は一律ではなく、買い付け金額に応じて割引が適用されます。
ほとんどの商品では、1,000万円より少ない金額の場合の手数料率は3.3%ですが、1,000万円以上の場合には手数料率は2.2%と1%ほど割引されるのです。
このケースの場合、前述のケースとは反対に基準価格が想定以上に下落してしまい、必要金額に届かずに割引の適用を受けられない可能性があるのです。
投資金額が1,000万円の場合に手数料は10万円近く変わってくるので、口数指定で買い付ける際には注意しましょう。
投資信託は金額指定で買い付ける
結論としては、口数指定での買い付けはやめた方がよいものと思われます。
口数指定での買い付けメリットは、評価金額や受け取り分配金の計算が容易になるだけです。
反対に、予想外の投資金額になる可能性があることや、手数料の割引適用が受けられないなどのデメリットの方が大きいので、投資信託は金額指定で買い付けるようにした方がよいと言えます。(執筆者:現役の証券マン 白鳥 翔一)