令和元年版高齢社会白書によれば、65歳以上の高齢者の半数以上は「単独世帯」または「夫婦のみ世帯」に属している状況であり、子どもと同居せずに生活している高齢者人口の増加も顕著に見られています。
同居率が下がっている昨今は、介護を行うために遠方から通うという方も少なくありません。
そんな時、介護サービスを利用する以外にかかる費用として、大きな割合を占めるものの1つに、交通費があります。
今回は、その交通費を少しでも抑えるために、まだまだ知られていないことの多い交通機関の割引制度を紹介します。

目次
航空運賃の割引制度
各航空会社が行っている介護割引と呼ばれる制度です。
この制度は、法律に定められた公的制度ではないため、各航空会社によって利用できる区間や利用条件に差があります。
よく見られる制度の利用条件は、
とされています。
対象者を介護するために飛行機を利用した場合に、その際の基本運賃が割引されるというものが多いです。
運賃の割引率は利用時期などによっても異なりますが、
利用条件に当てはまる場合は、積極的に活用すると良いでしょう。

介護帰省割引より安いキャンペーンもある
また、飛行機を利用する時期や予約するタイミングによっては、各航空会社がキャンペーン等で行っている割引企画の方がお得に利用できる場合もあります。

この制度を利用する前には、各航空会社のホームページなどで確認する事をおすすめします。
鉄道の割引制度
次に挙げるのは、鉄道の割引制度です。
鉄道の割引制度は、先に挙げた航空機関とは異なり、介護を担っている人のみを対象とした割引制度は存在しません。
しかし、一定年齢以上の方が入会できる、JRが運営する「大人の休日倶楽部」等の会員となれば、
年会費は必要ですが、割引率が高いため、頻繁に帰宅しようと考えている方は入会を検討してみると良いでしょう。

また、新幹線が止まる駅や比較的大きな駅の周辺には、金券ショップがあり、乗車券や特急券などが格安で売られています。
特急券は繁忙期に使用出来ない事が多いですが、それ以外の期間であれば割安で電車を利用する事ができます。
電車に乗る前に、最寄駅の周辺の金券ショップをチェックしておく事をおすすめします。
自家用車での移動は要注意
交通費を節約するために、自家用車で移動する事を考える方もいるかと思いますが、自家用車での移動を選択する時は十分注意してください。
自家用車での移動でかかるお金の負担はガソリン代や有料道路の通行料等が主になるため、他の交通機関の利用を選択するより金銭的な負担は減る事が多いです。
また、出発時間にとらわれず介護者の都合で移動する事が出来るため、移動手段の中では非常に便利であると言えるでしょう。
しかし、自動車での移動は、運転者の方への体の負担が大きくなります。
運転に慣れている人であったとしても、
自家用車での移動を選択する場合は、運転の合間に適度に休憩を取るなど、体にかかる負担をなるべく減らせるような対応を意識しておく事が重要です。

交通費の割引で、気持ちにゆとりを持とう
遠距離介護の大きな負担は交通費です。
交通費を考えると頻回に帰ることが難しいという方も少なくありません。
さらに、心配はストレスになります。
遠距離介護による交通費は、工夫次第で最小限に減らすことができる可能性があります。
自分に合った選択肢を選べるようさまざまな支援やプランの情報を集め、少しでも交通費の負担を減らすことができれば、気持ちにもゆとりが生まれるものです。
コツコツと経済的な負担を減らす事は、遠距離介護を継続させる上で大切なポイントです。
まずは、いつも利用している交通機関から調べてみましょう。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)