預貯金のままではいけないとわかりつつ、なかなか投資の1歩を踏み出せない方、案外多いのではないでしょうか。
以前、資産は預貯金のみのお客様から投資相談を受けたとき、債券投資を提案したところ、理解し、始められた方がいます。
株式投資よりもリスクを抑えられる点が気に入られたようでした。
「株式投資」に比べて、「債券投資」は耳にする機会が少ないですが、最初の投資先として債券は検討の余地がある商品です。
今回の記事では、債券投資について紹介します。

目次
債券投資とは何か
債券とは、
・ 地方自治体が発行する「地方債」
・ 企業が発行する「社債」
のようにさまざまな発行体者が発行する、お金を借りる時の証書のことです。
現在、証書はペーパレス化されています。
国や地方自治体などの発行者は、お金を貸し出してくれている投資家に対して利子を支払う義務があります。
また、償還時(満期時)には借りた金額を投資家へきちんと返さなければいけません。
「個人向け国債 変動10年」の発行条件
債券の利率や償還期限などの具体的な条件は、債券により異なります。
例えば、第123回の「個人向け国債 変動10年」の発行条件を確認してみましょう。
・ 利率:0.05%(税引き前)
・ 利払い日:7月15日、1月15日(年2回)
・ 償還期限:10年
・ 償還金額:額面100円につき100円
・ 買付単位:1万円以上、1万円単位
今回は個人向け国債をご紹介しましたが、地方自体が発行する「地方債」、企業が発行する「社債」や発行体が外国である「外債」などがあり、発行条件もそれぞれ異なります。

債券投資のメリットとデメリット
債券投資とは、債券へ投資すること、つまり発行体へ自分のお金を貸し出すことです。
債券投資のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
定期的な利息収入、途中売却ができる
デメリット
・ 発行体の信用度によって利息や償還時の元本に影響が出る
・ 途中売却時には元本を割る可能性がある
債券へ投資すると、償還まで定期的な利息を受け取ることができ、償還時には額面金額が戻ってきます。
ただし、償還までに発行体が崩壊するようなことがあると、利息を受け取ることができず、償還時にお金が戻ってくることもありません。
よって、債券投資をする際には
途中売却で現金化できる、ただし時価で売却
また、償還までに資金が必要になった場合は、債券を売却して、現金化できます。
途中売却の場合は、時価での売却となります。
金利動向や政治・経済など外的要因により、債券の時価は変動します。
さらに、外国の債券の場合は為替の影響も受けます。
途中売却の際には投資元本を割る可能性があると認識しておいてください。

債券投資に向いている人
安全性の高い発行体を選び、償還まで保有すれば、債券投資は比較的リスクが低い投資です。
1. リスクは取りたくないが、利率はある程度欲しい人
株式投資ほどのリスクを取ることができない投資家は、債券投資も一考の価値ありです。
冒頭のとおり、筆者が対応したお客様で、値動きが怖くて株式投資に踏み出せない方がおり、メインで預貯金をされていました。
そのお客様に国債を提案したところ、
というお返事をいただきました。
発行体が国であるという点に安心し、預貯金よりも利率がよい点を気に入られたようです。
株式投資は怖いけれども、預貯金の利息には満足していない人は、発行体が安全な債券への投資も1度検討されてみてはいかがでしょうか。
2. 株式との分散投資でパフォーマンスを上げたい人
また、普段から株式投資をしている人は、分散投資の一環として債券投資を取り入れてみるのもいいでしょう。
債券と株式は相関性が低く、
と一般的に言われています。
加えて、
安全資産の預け先として、債券へ投資してみるのもよいかもしれません。
※債券投資は、比較的リスクが低い投資ですが、元本保証の商品ではありません。
投資は自己責任でお願いします。(執筆者:安田 小夏)