この記事の最新更新日:2024年8月1日
お盆の季節が近づいてきました。
全国的には8月13日から15日がお盆ですが、東京をはじめとする関東地方では古くから7月盆です。
お盆には、お坊さんが自宅にお参りに来てくれますし、 お寺によっては「施餓鬼(せがき)法要」や「お盆法要」などが催され、お寺にお参りする人も多いのではないでしょうか。
こうしたお坊さんのお参りにはお布施がつきものです。
どれくらいの費用を包めばいいのか、解説いたします。
「棚経」のお布施の相場は2,000円から1万円
お盆のお参りのことを「棚経(たなぎょう)」と呼びます。
自宅に設置されたお盆専用の祭壇のことを「精霊棚(しょうりょうだな)」と呼ぶからです。
この棚経へのお布施は、2,000円から1万円が相場です。
お坊さんは限られた日数の中で、檀家全ての自宅にお参りします。
1日あたり20件以上のお参りも当たり前だと言います。
そうするとひとつの家にかけられる時間には限りがあり、せいぜい10分から15分程度でしょう。
・ 法事のお布施の相場が数万円
・ 葬儀のお布施の相場が数十万円
と言われています。
2,000円から1万円を安いと感じる人もいるかもしれませんが、1軒にかける時間を考えると妥当なところでしょう。
お布施はあくまでも気持ちですから、相場を参考にして自分たちの納得いく金額を渡しましょう。
「お盆法要」のお布施の相場は3,000円から5,000円
お盆の時期には、お坊さんが檀家をまわる「棚経」のお参りだけでなく、檀家がお寺に集まる「お盆法要」(あるいは「施餓鬼法要」)もあります。
お盆はその家のご先祖さまを供養するだけでなく、餓鬼道に落ちたさまざまな霊を供養するためにも行われます。
そのため、自宅でのお盆参りではわが家のご先祖様の供養をしてもらいますが、お寺の本堂で行われる法要では、檀家たちが集まって、自分たちとは直接縁のない諸霊の供養を行います。
お盆法要へのお参りにもお布施を包みます。
費用相場は3,000円から5,000円です。
お寺によっては、金額を決めているところもありますし、塔婆(とうば)を立てたい人はさらに塔婆料を支払います。
お布施の意味を理解する
お寺と向き合うときになにかとわかりづらいのがお布施です。
「なぜ包まなければならないのか」
「どれくらいの金額を包めばいいの?」
こうした悩みをよく耳にします。
お盆には「先祖供養」と「施餓鬼供養」の2つの意味合いがあります。
施餓鬼
お釈迦様の十大弟子の1人である目連尊者の伝説に由来します。
餓鬼道に落ちた目連の母を救うために、どうしたらいいかとお釈迦様に尋ねたところ
「夏の修行である安居が終わる7月15日に、修行者たちにたくさんの食べ物や飲み物を施しなさい。そうすれば母は救われる」
と答えたそうで 、その通りに実践したことで母が救われたというものです。
この物語に込められている意味は、食べ物や飲み物など、自分が所有するものを分け隔てなく人々に分け与えることの大切さを説いています。
実際に目連の母は、自分の子である目連ばかりをかわいがり、目連にだけ食べ物を施し、他の修行僧には何も施さなかったために餓鬼道に落ちたと言われています。
お布施は現代の「シェア」に通ずる
・ 自分たちの先祖だけではなく、周りの諸霊にも供養の心を手向ける。
・ 自分たちの食べ物のいくばくかをお供えする。
こうした「布施」という考え方は、現代の「シェア」にとてもよく似ています。
所有から共有へ
自分のためではなく亡くなったご先祖さま
直接には関係のない死者のために
お盆という時間とわずかばかりのお金を施すことで私たちの心が満たされ、社会も幸せになっていきます。
ご先祖さまや諸霊への供養が社会全体を豊かにしていく、お盆をそのような時期と捉えてみると、お布施に対して納得感を持てるのではないでしょうか。