鳴り物入りで7/22より始まった「Go Toトラベルキャンペーン」は、事業予算総額1.7兆円で国内旅行業の需要喚起を狙った目玉施策です。
施策の内容はここで触れませんが、旅行関係者には待ちに待った国の施策となっています。
では、今が旅行関連銘柄の投資タイミングなのでしょうか。
東証株価指数TOPIXと比較し、年内の投資タイミングを考えてみましょう。

目次
Go Toトラベルキャンペーンで旅行関連銘柄は買い時なのか
Go Toトラベルキャンペーンは、旅行代金の半額分割引(上限あり)と、お土産品や施設割引券などが付与される国内の観光振興施策です。
開始時期や使い勝手にさまざまな意見が出ていますが、コロナショックど真ん中の旅行業界にとっては、命綱ほどの期待感でスタートしました。
この施策が旅行関連銘柄の株価上昇につながるのか、当時はオリンピック需要も期待されていた昨年末からの値動きを一覧表にしてみました。
旅行関連銘柄の年初来値動き
昨年末から年初にかけて株価が上昇していた旅行関連銘柄、逆にこのコロナショックでは陸運・海運・空輸などの業種は下落率が最も大きい業種になってしまいました。
緊急事態宣言が解除され、株価の上昇(元の水準への回帰)が期待されていましたが、現在の株価位置はどの辺りでしょうか。
旅行関連銘柄という業種別指数がないため、関連銘柄をピックアップして比較してみました。
※ヤフーファイナンスより、筆者作成
※昨年末(2019.12.30)終値と7/22終値との騰落率、年初来安値騰落率を掲載
黄色で示した東証株価指数(TOPIX)を平均とすれば、7/22時点での株価はほとんどが平均以下であり、航空や鉄道などの旅客関連です。
店舗運営をしている旅行代理店、ホテル関連も30%以上の下落水準に留まっています。
この中で年初来高値を7月になって更新した昭文社HDでさえ、5年間の株価推移では最も低い水準にあり、2020年3月期の決算予想を出せない状況です。
旅行関連銘柄は買い時なのか
Go Toトラベルキャンペーンの後押しがあっても、やはり新型コロナ感染が終息しない限り、旅行関連銘柄は投資対象から外すほうが良いのかもしれません。
特に現時点で20%以上下落している銘柄は、もし年初来水準まで戻るタイミングがあっても、「戻り売り」が待っておりその水準を超えることは難しいでしょう。
下落幅が大きいからと言って、上昇率が大きいとは限らないのがコロナ禍が直撃した旅行関連銘柄なのかもしれません。
またTOPIXよりも上昇している銘柄を見ても、昨年を上回るような株価上昇を演出する理由が見当たらず、これ以上の上昇余地は小さいと見ています。
旅行関連銘柄に投資する良い方法とは
一般的な株式相場であれば、企業業績や景気を見て底値や高値を判断することも可能ですが、このコロナ禍ではPERもPBRも決算見通しでさえ役に立ちません。
そこでお勧めしたい投資方法としては、少額の積立方式で旅行関連銘柄を買うことです。
自動積立ではなく、個別銘柄を自身で取引する形でコツコツと買っていく方法です。
旅行関連銘柄は配当金がなくなる可能性もあり配当利回りに期待できないかもしれませんが、株主優待には力を入れている企業が多くあります。
ANAの航空券やKNT-CTホールディングスの旅行券など、消費者目線で利用できる株主優待サービスを利用する絶好のチャンスです。
しかも投資タイミングをずらし、下がったら追加で買うというぐらいのスタンスで、年内をメドに投資してみることをお勧めします。

思いのほか株式相場が下がらない状況が続きそう
各国の政府や中央銀行が財政・金融投資を総動員して、このコロナショックを乗り越えようとしています。
経済実態の回復や中央銀行の債務膨張などの長期課題より、今はどんどんコロナ対策を打ち出す金融相場となっています。
経済実態と比較しても、思ったより株式相場が下がらない状況が続きそうです。
しかし感染の広がりが制御できていないため、どこが相場の底なのかを言い当てることは不可能です。
そのため、銘柄とタイミングの分散投資が有効となるのです。
旅行関連銘柄の株式を買って、自身が楽しく旅に出かけられるその時期を待つのも楽しみになります。
値上がり分で、1回分の旅行代金が稼げるかもしれないです。(執筆者:銀行・証券・保険業界に精通するシニアプライベートバンカー 中野 徹)