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高値圏でもみ合う株式市場の動向

今回は、高値圏でもみ合う株式市場の動向と決算後の値動きについて解説していきたいと思います
現在の日経平均株価は、高値でもみ合う状況が続いており、2万2,000円から2万3,000の範囲内で相場が形成されています。
8月の季節的な要因により海外投資家の参加者が少なくなるため、日経平均株価は決まったレンジ内での値動きを続けています。
しかし、米国ハイテク株市場では高値を更新し、上昇が続いている半導体関連銘柄やクラウド関連銘柄が数多く存在するなか、
も存在します。
相場環境の差は金融緩和がもたらしている
現在の相場は、コロナショックに伴う各国中央銀行の超金融緩和により形成されています。
巨額の資金の流れが株式市場に流入したことにより、回復までには相当の年数が必要とされていたマーケットがV字回復に至りました。
しかし、この超金融緩和こそが各国株式市場の優劣の差をもたらす原因となっています。
今までは、ヘッジファンドが巨額の資金をマーケットから出し入れすることによって相場はその方向に沿って上下を繰り返していました。
しかし、今回の超金融緩和により、ヘッジファンド以上の超巨額の資金が激流としてマーケットに流れ込んできたことで、ヘッジファンドはその流れに逆らえずに同じ方向に向けて資金を流入させています。
各国の金融緩和の金額に比例する形でその差が顕著に表れ、米国ハイテク株市場は上昇トレンドを継続している一方で日本株式市場には調整色が色濃く出ているのです。
決算発表後の株価動向にも変化が表れている
調整色の色濃い日本株式市場ですが、それは決算発表後の主力銘柄の株価にも影響をもたらしています。
半導体最大手の東京エレクトロン (8035)

株価を見てみると、7月10日の高値3万420円を高値に8月7日時点では一時2万7,560円と約2,900円下落に転じています。
欠陥検査装置で世界シェアNo.1のレーザーテック (6920)

7月10日に高値を付けてから8月7日時点では約3割以上急落しています。
レーザーテックの場合は、
・ 市場期待が高すぎたことにより決算が市場予想を上回れなかった
・ 独占的に製造していたEUVL用マスク検査装置に競合他社が参入してくる可能性が示唆された
ことが今回の株価急落に大きく関わっています。
しかし、東京エレクトロンの場合には、決算が市場予想を上回り一時は上昇に転じるものの、その後は下落に転じ株価が高値から1割近く値下がりしています。
このような値動きは、半導体関連銘柄に関わらず今まで上昇し続けてきた銘柄全般に当てはまることであり、軟調だった食料品株などには好決算後株価が急騰する局面が見受けられます。
テクニカル面で見た株価推移の変化
前述にあるように、これまで市場の中心銘柄として上昇を続けていた銘柄群の株価チャート上のテクニカル面でもその変調は見て取れます。
このまま下落を続けるようであれば下限のラインを下回り、弱気相場入りに入ってしまう可能性があるため、その動向には注意が必要です。
過去の経験則から言うと、上昇し続けていた銘柄が変調をきたしチャートを壊してしまった場合、その後の株価は大きく下落に転じるのが今までのパターンでした。
その際は決まって信用倍率が異常に高い値であり、それを機関投資家が売り崩していました。
しかし、今回は、信用倍率がそこまでの高まりを見せているわけではなく、需給関係は安定しています。
さらに、「現在の超金融緩和は継続の方向」と各国が市場にアナウンスしていることから、この流れはまだ途切れないものと考えられます。
したがって、8月は季節的な要因で閑散相場となり機関投資家などの大口投資家が参加しなくなるので、利益確定の売りが先行している可能性が高いと言えます。
そうなると、長期休暇以降は流出した資金が市場に回帰してくる可能性が考えられるのですが、11月の米国大統領選挙が意識される可能性もありますので、その動向には注意をしておいた方がよいことでしょう。
相場環境に影響する動向

現在の株式相場は、今までの主力銘柄の変調により好決算後も売られる展開が続いていますが、
・ 需給がそこまで悪化していない
ことなどを総合的に考えると、8月の季節的要因による一時的なものである可能性が高いと思われます。
しかし、
・ 11月の米国大統領選挙に向けての過激な発言などにより相場環境が変わる可能性も十分に考えられる
・ 半導体の「スーパーサイクル」による下落も将来的に考えていかなければならない
ことから、その動向には今後も注目が集まるものと思われます。(執筆者:現役証券マン 白鳥 翔一)