今回は「投資用不動産」の価値をどう維持するかについて考えてみたいと思います。

目次
「投資用不動産」の価値
いくつかのポイントがあると思いますが、私は「賃料をどう維持するか」にかかっていると思います。
賃料はその不動産の価値を反映する鑑であり、つまり投資用不動産の価値はおおよそ賃料に反映されるものだからです。
賃料維持・アップの施策
賃料を維持、もしくはアップするためにはどうしたらよいかを考えてみましょう。
1. リフォーム(イノベーション)の実施
以前、「リフォームは必要なのか」という記事に記述した通りですが、リフォームはできれば頻繁にやるべきです。
従前の住民の生活感を消すだけではなく、内覧者の方に「きれい」と言っていただくためにいかに新品同様に感じてもらえるかが肝心です。
クリーニングだけでは不十分だと感じれば、簡単なものでよいのでぜひリフォームましょう。
2. 時代に合わせた設備更新の実施
人間は便利なものには弱いように、日頃から使っているものがないと大変不便に感じてしまいます。
ワンルームマンションの設備の中に普段使いのものが欠落しているだけで敬遠してしまいます。
また、普段使っていない新しい設備がついていると、それだけで「実際以上に便利である」と良い意味で錯覚します。
ワンルームマンションにおけるそれらの設備を見ていきましょう。
(1) 水回り
・ シャワートップ水栓
・ ウォシュレット
・ ワイドシンク
・ 給湯(容量が大きいもの)
・ 風呂の追い炊き機能
(2) セキュリティ
・ ピンシリンダー錠
・ 玄関ドアダブルロック
・ モニター付きインターホーン
・ 耐震ドア
(3) 部屋全体
・ 専用Wi-Fi
・ ロフト
これらは単身者が実家等で普通に使用している設備であり、ないと不便だと感じてしまう要素です。
管理会社に相談しながら導入を考えてみてはいかがでしょうか。一部はオーナーの決断により単独で導入することも可能です。
3. IoT、高度なセキュリティの導入
昨今の世の中のIT化の目覚ましい進展により、以下のようなものがワンルームマンションにも導入され始めています。
(1) トリプルロックシステム → エントランス、エレベーター、玄関ドアの3か所を守るロックセキュリティシステム
(2) 非接触型のキーリーダーシステム → キーをかざすだけで解錠できるシステム
(3) 遠隔家電操作システム → 外出先からスマホで家電を操作するシステム
(4) 24時間セキュリティシステム → 住居の異常や共用部の異常発生に対し警備会社が24時間見守るシステム
セキュリティ面では、特に女性目線のものが多く追加されているようです。
このあたりになると、部屋のオーナー1人だけの意見ではどうにもならない部分なので、管理組合全体で考えなくてはなりません。
また、IT化の進展は目覚ましいため、数年後には別のシステムにとって代わられる可能性があります。
しかし、賃料アップのために最新のものにこだわるのであれば、自ら管理組合に提案してさらに新しいものを導入しようとする心構えも必要だと言えます。
4. ローンの活用
これだけリフォームや設備の更新をしていては、費用が掛かって仕方がないと思うかもしれません。
もちろん、これらすべてを更新もしくは導入することは無理ですし、自ずと限界はあります。
しかし、家賃を下げるのであれば、むしろローンを借りてでも設備を更新もしくは新規に導入し、家賃の減額予定分程度をローンの支払いに充てるという考え方もあります。
ローンの金額にもよりますが、家賃を現状維持しながら設備を更新してローンの支払いをすれば、少なくとも賃料値下げのトレンドは作られません。
それどころか、若干の賃料値上げとなるケースも考えられます。
このあたりの対応を管理会社に任せておくと安易に賃料値下げ手法を使いかねないので、マンションオーナー主体で取り組むべきです。
これくらいやってでも賃料値下げを阻止するべきです。
物件ごとにトレンドを考えて自分で判断
投資用不動産の価値は賃料であり、その維持が重要だということを納得いただけたのではないかと思います。
リフォームや設備更新を行い、場合によってはローンを借り入れてでもそれらをすることは、長い目で見ると不動産価値の維持には大きく貢献すると思います。
よく言われる「マンションの価値は築年数ではなく、リフォーム(設備更新も含めて)で決まる」というフレーズにも納得です。
ただし、過剰な投資など無理は禁物なので、物件ごとにその時代のトレンドを考えながら、必要だと自分で判断したものを実行してください。
もちろん専門家等周りの意見を聞くことも忘れないようにしましょう。(執筆者:不動産投資歴16年 堀江 優)