新型コロナウイルス感染症の影響もあり、少し具合が悪くても病院には行かず、薬局やドラッグストアで市販薬を買って対処している人も多いのではないでしょうか。
また、マスクやアルコール消毒薬など、ドラッグストアでの買い物が増えた人もいることでしょう。
薬局やドラッグストアで買った市販薬は、確定申告で所得税を少なくできる「セルフメディケーション税制」の対象になる場合があります。
詳しく見ていきましょう。

目次
セルフメディケーション税制とは
「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)」は、医療費控除の特例として2017年からスタートした制度です。
ロキソニンやガスター10といった
です。
主な条件は次の通りで、詳しい条件は厚生労働省のサイトで確認できます。
・ 定期健康診断や予防接種といった一定の取り組みをしている
・ 医療費控除との併用は不可
参照:厚生労働省
セルフメディケーション税制と医療費控除の違い
セルフメディケーション税制は医療費控除の「特例」にあたるため、同時には利用できません。
また、制度の条件も異なっていて、病院の治療費や処方薬代、通院交通費などはセルフメディケーション税制の対象外です。
主な違いをまとめました。

対象になる市販薬と対象外の市販薬がある
薬局やドラッグストアで売られている市販薬すべてがセルフメディケーション税制の対象になるわけではないという点に注意が必要です。
2020年7月31日時点の対象品目一覧によると1,808品目のセルフメディケーション税制対象商品がありますが、たとえば漢方薬などは対象に入っていません。
スイッチOTC医薬品かどうかは、薬のパッケージに次のような対象マークがあるかどうかで区別します。

分かりにくい場合には、「セルフメディケーション税制対象の風邪薬が欲しい」などと店舗の登録販売者か薬剤師に相談してみてください。
対象となる医薬品の一覧は、厚生労働省のホームページで公開されています。

マスク・消毒薬は「対象外」
新型コロナウイルス感染症対策のため、マスクやアルコール消毒薬などで想定外の出費がかさんだ人も多いことでしょう。
しかし、マスクやアルコール消毒薬は残念ながらセルフメディケーション税制の対象にはなっていません。また、医療費控除の対象にもなりません。
マスクやアルコール消毒薬はあくまで「病気の予防」であり、「病気の治療費」としてカウントできないため「医療費控除」にはならないのです。(執筆者:元商工会職員 久慈 桃子)